このラウンドから登場する磐田は、2010年のJリーグヤマザキナビスコカップ(現・JリーグYBCルヴァンカップ)以来となる、国内3大タイトル獲得を目指す。ルヴァンカップは1stラウンド2回戦で長崎に敗れて敗退しており、2003年度大会以来の天皇杯戴冠へ向けて、新たな挑戦がスタートする。
チームの底上げという意味でも、天皇杯で勝ち残っていく意義は大きい。昨季、ルヴァンカップを通じてチームの底上げが図れたことで、夏場のリーグ戦連戦時に躊躇なくターンオーバーに踏み切れたという背景もある。ただ、今季のルヴァンカップは1試合で敗退と悔しい結果に終わっているだけに、現状の序列を覆すことに燃えている選手たちにとってこの天皇杯は、反骨心を示さなければならない場となる。
「選手自身も次の天皇杯ですべての選手にチャンスがあると分かっていると思う。もちろん絶対に落とせないので、どういうメンバーで行くかは考えるが、一番は『俺を出してくれ』というギラギラしたものがない選手には(チャンスを)プレゼントするつもりはない。選手自身がつかんでほしい」(横内 昭展監督) その上でアピールの機会をつかんだ選手たちには油断なく、力の差を示すことが求められる。下位カテゴリーのチームと対戦する難しさを痛感している指揮官は、「僕自身も今までかなり“ジャイキリ”をされてきている。自分たちよりもカテゴリーが下という認識があったら多分、“ジャイキリ”が起こってしまう。普段のリーグ戦と同様に、対等の相手として立ち向かえるかが一番のポイントになる」と警戒する。特に“横内ジュビロ”の根幹でもある強度で圧倒することで、格上としての力の差を各局面で示していきたい。
宮崎県代表の宮崎は、1回戦で佐賀県代表の川副クラブを4-0で撃破。オウンゴールでの先制後、橋本 啓吾の追加点で前半を2点差で折り返すと、後半に阿野 真拓と吉澤 柊のゴールでさらにリードを拡大。九州リーグに所属する社会人チームを圧倒し、プロクラブとしてのプライドを示した。
リーグ戦では3勝5分8敗で18位と開幕から苦戦を強いられているが、1回戦での勝利後は復調傾向だ。明治安田J3第15節でYS横浜をアウェイで下し、リーグ戦5試合ぶりの勝利を飾ると、直近の第16節はホームで北九州に引き分け、負けなしをキープしている。今回はリーグ戦から中2日と厳しい日程を強いられるが、リーグ戦への追い風を強めていくためにもここで磐田を倒し、大きな自信を手にしたいところだ。
注目選手は、古巣戦に臨む大武 峻だ。2020シーズンから2021シーズン途中まで在籍した磐田では多くの出場機会を得ることはできなかったが、2022シーズンから2年間プレーした福島では中心選手として活躍。今季から加入した宮崎ではここまでスタメンに定着し切れていないが、格上からワンチャンスを仕留めたいゲーム展開を想定しても、ベテランDFのセットプレーでの得点力は1つポイントになりそうだ。
[ 文:森 亮太 ]
