互いに古巣戦となる選手を擁し、また“九州ダービー”でもあることから、譲れない一戦となりそう。だが、両者がリーグ戦で置かれる状況を考えると、いずれもなかなか切迫したシチュエーションでのマッチアップだ。
大分は3シーズンぶりに指揮を執る片野坂 知宏監督の下、“攻守シームレス”をキーワードに新たなスタイル構築を目指して今季をスタートしたが、ブラジル生まれのストライカー・サムエルや広島から育成型期限付き移籍中の鮎川 峻、プレシーズンのプレーで周囲に大きな期待を抱かせた池田 廉らが次々に負傷離脱。当初目指したスタイルを体現するのが困難な台所事情に陥ったが、コンセプトは変えることなく、戦術的工夫を凝らしながらスタイルの浸透を続けてきた。粘り強い戦いでどうにか、リーグ戦で11位と中位で踏ん張っているが、毎試合シュートやチャンスの数が少なく、苦境が続いている。
現在も駒不足は深刻で、鹿児島でプレー経験があり、出場すれば兄弟対決の可能性もあった野嶽 惇也は、直近のリーグ前節・山形戦を負傷により途中交代。同じく昨季まで鹿児島に在籍していた薩川 淳貴は負傷離脱中だ。山形戦から移動も含めて中2日で迎えるこの試合には、これまで出場機会を得ていない若手や2種登録選手が多く絡むことになりそう。個々のクオリティーにも連係面にも不足があることは否めないが、ここで彼らが奮起して少しでも計算できる戦力であることをアピールできれば、今後のリーグ戦に向けて選手層の厚みを回復することにもつなげられる。
一方の鹿児島はリーグ前節・岡山戦を終えて、J3降格圏の18位に沈んでいる状況。1-1の引き分けに終わったJ2第17節・藤枝戦後にチームをJ2復帰へと導いた大島 康明監督を解任すると、5月28日から8年ぶりの浅野 哲也監督体制へと舵を切った。
浅野監督体制になってからのリーグ前々節・秋田戦はスコアレスドロー、岡山戦は1-1と、勝点1ずつを積んでいる。クラブ伝統のアグレッシブなスタイルを貫きながら、岡山戦では積極的な守備から先制点を奪って、少しずつ浮上の兆しも見えているだけに、この天皇杯をどう戦うかが注目される。かつて大分で片野坂監督の独特なスタイルのキーマンとして活躍した藤本 憲明は、岡山戦で終盤での出場にとどまっており、この試合でメンバー入りする可能性が高い。出場すれば古巣のスタジアムでの前回対戦の雪辱を期してくることだろう。
下位3チームが自動降格となるため、例年に比べて輪をかけて殺伐とした戦いが繰り広げられているJ2で、それぞれに切実な状況となっている両者。この天皇杯での激突で、大きな収穫を得るのはどちらか。
[ 文:ひぐらし ひなつ ]
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