それぞれ異なる事情からではあるが、現在両チームともに得点力の向上を図っている。このノックアウト形式の天皇杯で、勝利に近づくゴールをどれだけ取れるかが問われている。
富山は5月25日の1回戦で千葉県代表の順天堂大に2-1で勝利し、この2回戦に進出した。4月16日のJリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド2回戦・名古屋戦を最後に公式戦で勝利から遠ざかっていただけに、1回戦での勝利は大きな価値があったが、順天堂大戦の2日後に成績不振で小田切 道治監督が退任。2020シーズン以来の復帰となる安達 亮監督が新たに指揮を執っているが、その後のリーグ戦2試合は1分1敗。監督交代後の公式戦初勝利も、この天皇杯で目指すことになる。
富山の課題の1つが得点力で、リーグ戦18試合終了時点で総得点が『16』とリーグ最少タイ。攻撃的スタイルを標ぼうする安達 亮監督には得点力不足の解消が期待されており、直近のJ2第17節・水戸戦(0●1)でも解決の可能性は見られた。前線の機動力を生かして相手ゴール前にボールを運ぶだけでなく、人数をかけて攻める場面も多く作った。特にSBの選手が相手陣内深くまで攻め入ってクロスだけでなくシュートも狙っており、濱 託巳や吉田 新が惜しいシュートを打つなど後方の選手も攻撃に厚みを加えている。6月6日に、リーグ戦でチーム最多の5得点を記録していた碓井 聖生が福岡へ完全移籍したことは痛手だが、武 颯らFW陣の奮起、新たなエース候補の登場に期待したい。
一方の仙台は、今季J1自動昇格圏を狙えるチームになる上で得点力の向上をテーマとしている。就任2年目の森山 佳郎監督は整備された守備組織に加えて、サイド・中央を使い分ける攻撃の連係にも幅を持たせられるようチームを成長させている。それに見合った得点数が欲しいところだ。5月31日に行われたJ2第18節・札幌戦では、追加点を取れずに終盤に追いつかれて1-1の引き分けに終わった。複数得点を取れる力を身につけることが必要になっている。
仙台は前線に高さと強さを兼備する宮崎 鴻、FWでもMFでもゴール前に的確に飛び出せる郷家 友太といった個性豊かな選手がそろうが、天皇杯2回戦ではこれまでリーグ戦で出場機会の少なかったFW陣に、仙台での公式戦初ゴールへの期待も込めて注目したい。力強くゴールに突進するストライカーの安野 匠。左右両足ともに高いシュート技術を持つ西丸 道人。彼らにゴールが生まれれば、ほかのFW陣にも刺激を与えられるはずだ。また、ここまで助っ人としての期待をかけられながらそのパワーを生かし切れていないグスタボの巻き返しもありうる。
リーグ戦に向けて、得点力向上のきっかけをつかむことができるのはどちらのチームか。
[ 文:板垣 晴朗 ]