もちろん藤枝の選手もこの試合を待ち望んでおり、リーグ前節・仙台戦から中3日だが、その後はサマーブレイクに入るため4日間のオフがあり、誰も連戦の疲労については気にしていない。
仙台戦でフル出場した岡澤 昂星も、「チャンスがあれば絶対に出たいです。天皇杯は日本一になれるチャンスがどこにもあるので、もし出られたら全力でやるし、出なければしっかりサポートに回って、次のステージに進めるように全力でやりたいです」と言う。
須藤 大輔監督は、「仙台戦に出たからとか関係なく、コンディションが良い選手、広島に対して勝てる選手、天皇杯は延長もあるので120分戦える20名を選んでいきたいと思っています」と語っており、練習での選手たちの競争やアピールはいつも以上に活発になっている。
対する広島は、リーグ前節・岡山戦からは中10日だが、この天皇杯のあとは中3日で新潟との明治安田J1第24節が待っている。また、現在開催されている東アジアE-1選手権の日本代表メンバーに6名(大迫 敬介、荒木 隼人、川辺 駿、田中 聡、ジャーメイン 良、中村 草太)が招集されているため、フレッシュな選手が多く起用されることが予想される。リーグ戦の出場を増やすために野心に燃える選手たちの躍動が、広島サポーターにとっては最大の楽しみとなる。
さらに、攻撃的なチーム同士という意味でも見どころは多い。リーグ戦におけるデータを見てみると、1試合平均チャンスクリエイト数が広島は11.7回でJ1の5位、藤枝は11.5回でJ2の5位。どちらも決定力の面で課題があってゴール数はあまり伸びていないが、攻撃の迫力や多彩さに優れたチームだ。また、藤枝はここ2試合で決定力という面では改善の兆しが見えており、この試合に向けても好材料と言える。ただ広島は、1試合平均失点数がJ1で最少の0.78で、クリーンシートがJ1で5位タイの多さとなる8回という、堅守のチームでもある。その広島から藤枝が得点を決め切れるかという部分も注目点となる。
基本システムは両者とも[3-4-2-1]でミラーゲームとなり、サイド攻撃が武器というのも共通点。広島は1試合平均クロス数が18.6本でJ1・1位と際立っており、そこに藤枝がどう対応するか。サイドの攻防でどちらが優位に立てるかという部分は、試合展開にも大きく影響するだろう。また、広島はセットプレーからの得点が全体の44.4%(12点)と非常に多く、そこは藤枝が入念に対策しなければいけない要素となる。
チームの総力をもって野心たっぷりに大物食いを狙う藤枝と、選手層の厚さで貫禄を見せたい広島。対決の構図という意味でも、天皇杯らしい楽しみに満ちた一戦となるはずだ。
[ 文:前島 芳雄 ]


