4月上旬の政府による緊急事態宣言に伴い、湘南は同月5日からチーム活動を休止。5月27日の練習再開まで約2カ月間、サッカーのある日常を失った。それでも、「僕らはアスリートですし、ただ休むというのが仕事ではない。プロサッカー選手としてできる行動をしようと思っていました」と齊藤 未月が振り返るように、この苦境の中でもそれぞれがスイッチを切ることなく、いまできることに取り組んできた。全体練習が解禁され、ようやくチーム全員がグラウンドで顔を合わせたのが6月2日。「みんなでサッカーができる楽しさをあらためて感じました」という鈴木 冬一の言葉は、その喜びを十二分に感じさせた。
その後1カ月のトレーニング期間は、コンディション回復に努めるとともに、守備の整理に焦点を当てて取り組んできた。浦和と対戦したリーグ開幕戦では主導権を握り2点を奪取。今年のキャンプから積み上げてきた成果が存分に表れた一方で、3失点を喫した守備面には課題を抱えていた。それだけに、「この期間は守備についてだいぶ時間を費やせた」と語る浮嶋 敏監督にとっては恵みの時間になったかもしれない。
一方で、今季から仙台を率いる木山 隆之監督にとっても、この中断期間はプラスに作用したに違いない。長沢 駿やアレクサンドレ ゲデスといった負傷者たちが復帰を果たし、3月24日には西村 拓真の加入が発表されるなど、ストライカー陣に厚みが増した印象。開幕戦では名古屋と1-1の引き分けに終わったが、「当時のゲームはあまり参考にならない」と浮嶋監督が言うとおり、チームは“木山スタイル”の浸透が着実に進んでいるだろう。
そんな中で、浮嶋監督は「相手のことを考えるよりも……」と話し、このように続ける。
「まずは自分たちがやってきていることをゲームでしっかりと出す。仙台戦のすぐ4日後には横浜FM戦がありますし、仙台戦のことだけを重視して考えるというのはまったくないですね。そういう意味では、自分たちがやってきていることの課題を見てやっていくことが一番大事だと思っています」 中断期間中の積み上げの成果を発揮するのは果たしてどちらか。浮嶋監督と木山監督。それぞれのカラーをより濃く表現したチームが、勝利に近づくはずだ。
そして最後に、リーグ再開に向けて思いを語ってくれた副主将・福田 晃斗の言葉を記して締めくくりたい。
「コロナの自粛中は、幼少期に感じたような、本当に早くサッカーがやりたいという純粋な気持ちがまたよみがえってきました。いろんなことを考えさせられましたし、試合が待ち遠しい日々が続いていたので、やっと試合ができるという喜びがあります。ここに至るまでに医療従事者をはじめいろんな方々のサポートがあって、僕たちがプレーできるので、皆さんに感謝しながら純粋にサッカーを楽しみたいなと思っています」 [ 文:林口 翼 ]
