あれから約1カ月後に実現する、リアルな戦い。残念ながら川崎Fの小林 悠と中村は負傷のため欠場濃厚だが、両チームともにリーグ戦再開初戦で白星を飾るなど幸先の良い滑り出しを経て、今回のクラシコを迎える。
アウェイチームとして味の素スタジアムに乗り込む川崎Fは前節、ホームで鹿島に2-1で勝利した。前半、左足の高精度キックが自慢の家長 昭博が谷口と長谷川 竜也のゴールをお膳立て。鋭く曲がるボールに縦に伸びていくボールと、多彩な蹴り分けから見事な2アシストを記録した。あらためて個の能力の高さを示した家長は堅守を誇るFC東京守備陣相手に、どこにスキを見つけパスを通していくか。攻撃の演出家として、川崎Fのキーマンの1人である。
ほかにも中盤ではテクニシャンの大島 僚太がインサイドハーフの位置でよくボールに触り、さらにゴールも決めた左ウイングの長谷川も神出鬼没な動きで相手DFをかく乱。彼ら好調な選手たちに、ストライカーのレアンドロ ダミアンがどこまで有機的に絡んでいけるかが攻撃の焦点になるだろう。
対するホームのFC東京は前節・柏戦で1-0の勝利。スコアレスの時間帯が続く中、相手が退場者を出した直後のセットプレーから渡辺 剛が値千金の決勝弾を決め、しぶとく勝点3をモノにした。FC東京も川崎F同様、今季から新布陣[4-3-3]を採用するが、柏戦は相手の特徴を鑑みた結果、アンカー1枚ではなくボランチを2枚置いた[4-2-3-1]に微調整。スカウティングを考慮して、柔軟に自分たちの立ち位置を変えていくやり方は長谷川 健太監督も得意としているところであり、今節も川崎Fに対してフレキシブルな対応が見られるだろう。
一方、懸念材料は柏戦の前半に右足を負傷して交代したディエゴ オリヴェイラの状態。後半に入るとスタンドに歩いてきては、柏時代のかつての同僚クリスティアーノと仲よく観戦する姿を見せるなど、ケガは重傷ではない様子。ただこのあとも連戦が続いていくことを考慮すると、今節の出場の可能性は低い。万能な攻撃プレーヤーのディエゴ オリヴェイラはまさにFC東京の攻撃の核なだけに、不在がチームパフォーマンスにどこまで影響を与えるかは不安なところでもある。レアンドロやアダイウトンといったそのほかの助っ人勢は健在であり、彼らの奮起にも期待が集まる。
本来なら両チームのファン・サポーターが大勢集まり、最高の雰囲気をスタジアムに形成し始まる“多摩川クラシコ”。今回は初のリモートマッチになるため、スタンドも静まり返った状態での試合となる。ただいざ始まれば、両チームが強度の高い戦いを繰り広げることは間違いない。互いのプライドはもちろん、今季のタイトル争いをけん引していくためにも、どちらも負けられない一戦になる。
[ 文:西川 結城 ]
