ただ勝負を決めたのはパフォーマンスの最大値やアベレージよりも、細部にあったかもしれない。大槻 毅監督が「失点の時間帯だったり、形がもったいなかった」と試合後に語ったように、最初の失点は前半終了間際。森重 真人のロングフィード、室屋 成のクロスは確かにスーパーだった。ただ、GK西川 周作は「自分がもう少し中の状況を把握していれば、クロスに対してのポジショニングを変化できたのかなと思います」と、ほんのわずかな自分のミスを悔いた。
2失点目についても、イレギュラーバウンドした不運と重騎兵のようなアダイウトンの突進力はあったが、パスの出し手の判断やパススピード、受け手の判断とその後の対応と、どこかで防げた失点だったかもしれない。中盤の要に成長しつつある柴戸 海も「ちょっとしたところの勝負の際で負けてしまった」と試合を振り返った。
そんな浦和だが「みんな次に切り替えて良い雰囲気で練習できている」(橋岡 大樹)と気落ちはない。連戦が続く中、相手への対策を十分に仕込むことは難しく、自分たちの足りないもの、試合で出せなかった部分をフィードバックして改善していく必要がある。試合翌日の練習でも、強度が足りないとみるや「昨日、何回ディエゴ オリヴェイラに持っていかれたんだ!」と大槻監督のゲキが飛ぶ。その後は見ているこちらが心配になるほどの激しいぶつかり合いが展開された。
さらには「スイッチをもう少し入れたかった」(大槻監督)、「どこでスピードを上げて相手のゴールに迫っていくかというところが、統一されていなかった」(柴戸)と、再開後いまひとつ発揮できていない速攻の改善にも着手。思考と意識の再整理に取り組んでおり、「相手どうこうよりも基本的なことをやる」(橋岡)と、ブレずに進んでいくのみだ。
一方の柏は再開後3連敗と勝星に恵まれなかった。ただ前節・湘南戦は3得点を叩き出し、開幕戦以来の勝利を挙げて連敗ストップ。
ここまで2勝3敗と負け越してはいるものの、「出場機会を求めてチーム内でしっかり活動してきた選手にそれを与えながら、結果、勝利で終えることができた」(ネルシーニョ監督)と、豊富な選手層でローテーションさせつつ疲労も分散できた。3試合無得点だったエース・オルンガにゴールが生まれたことも好材料だろう。5試合で11失点の守備面は懸念材料だが、攻撃陣の質と量は浦和に一歩も引けをとらない。
浦和がここまで見せたような手堅い試合運びに加えて、不足していた攻撃のスピードを取り戻すことができるか。柏が持ち前の爆発力で勢いを持続できるか。今後の両チームにとって重要な一戦となりそうだ。
[ 文:沖永 雄一郎 ]
