両者が対戦したのは、今月12日に行われたJリーグYBCルヴァンカップ。グループステージの最終戦で、勝ったほうが首位で突破を決める重要な一戦だった。
序盤から激しく動いた試合は、開始30秒で名古屋が先制点を挙げると、6分には川崎Fが同点とする。その1分後には再び名古屋がリードと、二転三転。名古屋特有の蒸し暑さの影響からか、立ち上がりは川崎Fの動きが重かった。
それでも、悪いながらも修正できるのが首位に立つチームの強み。38分に三笘 薫のこの日2点目のゴールで同点に追いつくと、後半には退場者を出したにもかかわらず試合をしっかりコントロール。逆転までには至らなかったが、ハーフタイム以降は相手に攻撃の糸口を与えず、2-2というスコア以上の強さを見せた。
しかし、その試合の名古屋はベストメンバーと言えなかったのも事実。FWの金崎 夢生は今季、鳥栖でグループステージに出場していたため規約上出られず、攻守の要・阿部 浩之もリーグ戦で受けたケガによりベンチ外だった。今節は名古屋の核であるその2人が加わる可能性があり、リーグを独走する川崎Fを相手にどれだけできるのか興味深い。
一方で、川崎Fはどのユニットでもレベルが落ちない重厚さを持つ。ボールを持ったらアグレッシブに相手ゴールに迫るサッカーで、1試合平均のゴール数は『3』を超える。首位攻防となった前節のC大阪戦も、リーグ最少失点タイと堅守を誇っていた相手から5ゴールを奪い、逆転勝ち。現実世界を突き抜けた強さを持つチームをどこが止めるか。
その一番手として期待したいのが名古屋だ。前節・湘南戦は0-0で迎えた後半アディショナルタイムに決勝点を挙げ、勢いをつけた。昨季も名古屋は、川崎Fに対してリーグ戦は1勝1分と勝ち越しており、特に今節と同じ真夏に行われた豊田スタジアムの明治安田J1第22節では3-0と快勝している。
当時の名古屋は風間 八宏監督が指揮を執っており、名古屋対川崎Fは“風間ダービー”と呼ばれた注目カード。超攻撃的なチーム同士のボールのつなぎ合い、はがし合いは、「日本サッカーもここまでできるようになったか」と関係者を唸らせた。豊田スタジアムでの試合は、“風間名古屋”の集大成とも言える展開になり、超満員のサポーターの前で風間前監督は古巣を相手に初めての勝利。そしてそれは、彼にとって名古屋での最後の勝利となった。
名古屋のスタイルはそのときから大きく変容し、まず守備を意識しリスクをとらないチームになったが、これまでのようにファンを熱狂させるゲームができるのか。展開としてはルヴァンカップの後半のように、川崎Fがボールを握り名古屋が守りを固める展開になると予想されるが、名古屋としては少しでも多く自分たちが主導権を握る時間を増やさないと、絶好調な相手攻撃陣を止め続けることは厳しいだろう。
相性を生かして、名古屋が独走する首位チームを止めるか。川崎Fが圧倒的な強さを見せつけるのか。リーグを盛り上げるためにも名古屋は“ストップ・ザ・フロンターレ”を成し遂げたい。
[ 文:斎藤 孝一 ]
