15連戦の最中にある鳥栖は今節が12試合目。ようやく区切りが見えてきたが、苦しい状況が続いている。前節はホームに浦和を迎えた。立ち上がりからボールを握る一方、前線の動き出しに欠け、崩し切れない時間が続いた。後半に得たPKのチャンスも生かし切れず、最後は浦和のフィジカルに屈する形で守備陣が決壊。0-1で敗れ、3連敗となってしまった。ケガ人や連戦での疲労蓄積により、特定のポジションに本職ではない選手を起用せざるを得ない苦しいやり繰りが続いている。志向する攻撃的なスタイルの維持のために足元の技術や機動力を優先する一方で、守備の強度や高さが低減してしまっており、“あちらを立てればこちらが立たず”といった厳しい状況となっている。
一方の鹿島は7連勝のあと、2連敗で迎えた前節、ホームに横浜FCを迎えた。前半の早い時間で2点を先行される苦しい立ち上がり。3連敗の可能性が色濃くなったが、後半に3得点を奪っての逆転勝利。特に2点目、3点目は88分以降に奪っており、勝利への執念を見せた。「あきらめずに戦った姿勢、意欲が最後の逆転の得点につながった」とザーゴ監督も選手たちのファイティングスピリットを高く評価。3連敗の危機から一転、劇的な勝利をつかみ取ったことでチームとして勢いを得ることもできただろう。
今季の両チームだが、ともに若い選手の積極的な起用が目立っている。鳥栖は今季、開幕時点で23歳以下の選手のリーグ戦出場が11人。松岡 大起、本田 風智、大畑 歩夢と高卒選手が含まれており(松岡は高校3年時の昨季にトップ昇格)、さらに2種登録で現在17歳の中野 伸哉もデビューを果たしている。チーム事情もあるが、育成組織出身者がトップチームで懸命なプレーを見せている。そして、鹿島も同じく23歳以下の選手がリーグ戦ですでに12人出場を果たしている。こちらも染野 唯月、松村 優太、荒木 遼太郎、山田 大樹と4人の高卒ルーキーがデビューを果たしている。開幕当初こそ苦しんだが、8月から9月にかけて7連勝を記録するなど、若い選手を積極的に起用しながら着実にチームとしての総合力を高めている。金 明輝監督とザーゴ監督、両指揮官が見せているチームマネジメントで両チームともに成長を遂げていると言えるだろう。
試合のポイントを考えると、鳥栖は不足する高さをどうカバーするか。CBにケガ人が相次ぎ、苦しいやり繰りとなっている鳥栖だが、前節のスタメンでは180cmを超える選手が2人だけだった。試合の中でも高さで後手に回る場面が見られただけに、伝統的にセットプレーに強さがある鹿島にどこまで対抗できるか。エヴェラウドのようなリーグ屈指のストロングヘッダーもいるだけに、攻撃の時間を長くして、自ゴール近くでのFKやCKをなるべく与えないようにしたい。
ホーム3連戦で2連敗となってしまっただけに、鳥栖としては絶対に本拠地3連敗は避けたいところ。鹿島は前節の勢いを生かして再び連勝街道に乗りたい。若い力がぶつかり合う好ゲームを期待したい。
[ 文:杉山 文宣 ]
