しかし、FC東京にとってここ数年の横浜FMは相性の良い相手である。特に2018年にFC東京が長谷川 健太監督体制に、横浜FMがアンジェ ポステコグルー監督体制になってからのリーグ戦績はFC東京の4勝1敗。さらにその5試合で13点も奪っている。
守備ラインを常に高くし、ボールポゼッションを中心に前に攻めに出るアンジェ ポステコグルー監督のスタイル。対して堅守をベースに、“ファストブレイク”と呼ばれるゴールに素早く直線的に向かっていく長谷川監督の戦術は、しばしば前者の弱点を効果的に突いてきた。ディエゴ オリヴェイラと永井 謙佑という守備でも攻撃でも前進方向に速さと圧力を掛けられる2トップは、過去の両者の対決では常に主役となってきた。彼ら2人を前面に押し出したプレッシングで、横浜FMのパスワークを寸断。そしてボールを奪えば、広大に生じるスペースにスピーディーかつ直線的な攻撃で人とボールが流れ込み、あっという間に横浜FMゴール前まで進入していく。前回対戦でもFC東京の3得点目は、手数をかけずに永井が右サイドを抜け出し、クロスに対して単独で走り込んだレアンドロが決めた形だったが、まさにFC東京の攻撃的な長所が、そして横浜FMの守備的な弱点が出た瞬間だった。
直近2試合前の第23節・C大阪戦で1-4と敗れ、横浜FMは今季のリーグ制覇の可能性がついえてしまった。しかし、現在7位の昨季王者は直近の第33節・名古屋戦を2-1で競り勝ち、意地を見せている。メンバーを大きく入れ替えて臨んだ一戦で、一時はマテウスの一撃で追いつかれたが、最後は渡辺 皓太の決勝点で勝ち切った。「開始の笛が鳴った瞬間から90分間、ゲームをコントロールしました。たくさんのチャンスを作った中で素晴らしい2点が生まれました」とチームを称賛したアンジェ ポステコグルー監督。再びチームの雰囲気を上向きに変えて、この中2日での連戦を迎える。
一方のFC東京は8月から続いていた怒とうの19連戦が、前節・横浜FC戦で一区切りついた。その前節は後半、決定機をいくつも創出しながら決め切れず、終了間際の失点で1点に泣く敗北となってしまった。ただ「負け試合でも内容的には悲観するものではなかった。このまま前を向きたい」(小川 諒也)と選手たちは引きずることなく、ひさびさの約1週間のインターバルを経てこの試合に向かおうとしている。
両チームとも、来月にはカタールで集中開催が決まったAFCチャンピオンズリーグへの出場が予定されている。他クラブより早めにリーグスケジュールをこなすだけに、しっかり勝点を稼いでおきたいところだ。優勝の目がなくなった横浜FMにとっては少しでも上位進出を狙うために、首位・川崎Fの背中は遠いものの、まだ制覇の可能性をわずかに残しているFC東京にとっても、負けられない一戦となる。
[ 文:西川 結城 ]
