リーグ開幕戦で対戦した両者だが、その際はスコアレスドローに終わっている。とはいえ、試合内容としては川崎Fが優勢に進め、特に後半は鳥栖が耐えるという構図の末のスコアレスドローだった。
ただ、そのときから約10カ月を経て、両チームともに自分たちのスタイルには磨きがかかっている。鳥栖は金 明輝監督の下、ボールを保持しながらの前進、相手を敵陣に押し込むスタイルの構築に着手。開幕戦時点では川崎Fの前に力不足を思い知らされたが、いまではどこが相手でも表現できるまでに成長を遂げている。
一方の川崎Fも開幕戦こそ引き分けに終わったが、そこからの快進撃は誰もが知るところ。12連勝を含め、二度の2ケタ連勝を達成。驚異的なペースで勝点を積み重ね、第29節・G大阪戦に勝利し、4試合を残して優勝へと到達した。圧巻の得点力に加え、素早い攻守の切り替えをベースとした守備にも安定感があり、Jリーグの歴史においても屈指のチームであることは間違いないだろう。31試合を終えた時点ですでに勝点76を獲得。これまでの年間最多勝点記録だった『74』を超えており、どこまでその記録を伸ばせるかにも注目が集まる。
鳥栖は川崎Fにとっては最後の獲物といったところか。川崎Fは今季ここまで鳥栖以外の全クラブから勝利を挙げており、鳥栖に勝利すれば全クラブから勝利を挙げての優勝となる。絶対的王者としてJリーグ史にその名が刻まれるのは間違いないだけに、全クラブからの勝利という点も成し遂げておきたいところだ。
一方の鳥栖とすれば、今季の王者から白星を挙げてクラブとしての存在感を示したいところ。そして、王者からの白星は若い選手が多いチームにとって大きな自信となるのは間違いない。松岡 大起も「次の試合は大事だと思いますし、勝つことによって自分たちの見られ方や価値も変わってくると思います。いま、どういうふうに見られているかは分からないですけど、自分たちのサッカーをして、勝つことで周りの反応も変わってくるはず。勝つ以外はない」と勝利だけを見据えている。
鳥栖は明確なスタイルで主導権を握る時間帯では数多くチャンスを作れる一方、それができない時間帯では盛り返すまでに時間を要してしまうという課題に直面している。川崎Fが相手となれば、劣勢の時間帯も少なくないだろう。いかに苦しい時間帯を耐え、自分たちのスタイルで押し返せるか。課題をクリアし、成長を遂げるためにはまさに絶好の相手でもある。
9月のFC東京戦以来、ホームでの勝利から遠ざかっている鳥栖。この試合も含めて、ホーム戦は残り2試合。ホームのサポーターとの歓喜を味わうためにも絶対王者を乗り越えたい。
[ 文:杉山 文宣 ]
