前節、鹿島は浦和の前に完敗を喫した。相手のシュート数は5本と少なかったが、ゲームのほとんどを支配され、鹿島はボールを敵陣まで運べなかった。関川 郁万のプロ初得点で前半は1-1で折り返したものの、後半にPKを与えて力なく敗れた。その前の公式戦であるJリーグYBCルヴァンカップAグループ第2節・福岡戦では5-1と大勝していたが、その流れをリーグ戦に持ち込むことができなかった。
課題とするのはビルドアップ。浦和戦後、ザーゴ監督は「就任してからこんなに悪い試合をしたのは初めてだと思います」と指摘し、ボールを握り勇気を持ってつなぐ試合を見せられなかったことについて、「逃げているのか隠れているのか、どういう理由なのか分からないですが、初めて自分たちが何もしようとしなかった」と肩を落とした。中3日で迎えるこの試合で、どれだけ修正できるか分からないが、これまで構築してきたチームの姿を試合の中で表現したい。幸い、前節は出場停止だった犬飼 智也が今節から戻ってくる。ディフェンスリーダーとして守備を統率するだけでなく、ビルドアップの担い手でもある犬飼の不在は大きかっただけに、本来の姿を取り戻したい。
対する柏は5試合勝利から遠のいている。明治安田J1第2節で湘南に勝利したあと、名古屋、川崎F、鳥栖と上位陣に連敗。清水にも敗れると、前節は同じ降格圏に沈む横浜FCに引き分けるのが精一杯。大南 拓磨の同点ゴールが決まったのは90分と、土壇場で追いつく展開だった。課題とするのは7試合で4得点にとどまる攻撃力の欠如にある。このオフに、28得点を挙げて昨季のJ1得点王に輝いたオルンガが移籍した穴を埋め切れていない。選手も監督も誰もが「オルンガがいないから」と言われまいと必死に戦ってきたが、なかなか攻撃の形を見いだせていないのが実情だ。
ただ、土壇場での同点弾をネルシーニョ監督は反撃の狼煙に変えようと試みる。百戦練磨の知将は「負け試合では決してない試合で、勝てた試合だったと自分は見ています。相手と分け合った勝点1は、今後勝点を積み重ねていく上で、非常に価値のある勝点1であることは間違いありません」と、ポジティブな要素を見いだしていた。
昨季、県立カシマサッカースタジアムの戦いでは、柏がオルンガらの活躍により4-1と大勝している。AFCチャンピオンズリーグ出場権獲得を目指していた鹿島にとってはこの敗戦が大きく響き、最終順位は5位にとどまった。今季、鹿島はホームで1勝しか挙げられておらず、3連敗の現状を脱するためにも勝利が求められる。
[ 文:田中 滋 ]

