とはいえ、札幌は簡単な相手ではない。昨季、ホームで0-2と敗れている。「完敗と言える試合だった」と振り返ったのは谷口 彰悟。その試合で、連勝を『12』でストップさせられたのは記憶にも新しい。ボール回しを奪われ、アンデルソン ロペスと荒野 拓馬にゴールを許した。
札幌は、マンツーマンディフェンスという特殊な守り方に取り組み、さらに「彼らはポジションを決めずに動き回るスタイルで、マークにつくのは難しい印象がある」(ジョアン シミッチ)。直近3試合では2勝1分と結果を残している11位の札幌は上昇気流の中にあると表現できるだろう。川崎Fが中3日であるのに対して、札幌は中6日。準備期間やコンディション調整の時間を多くとれることは、運動量が必要な戦術を遂行する上で有利に働くはずだ。
ここまでリーグトップの得点数を誇るアンデルソン ロペスも前節で2得点をマークし、負傷明けの荒野もコンディションが上がってきた様子。攻撃時に違いを作ることができるジェイやチャナティップもおり、川崎Fとしてはあなどれない。
ただ、開幕前のキャンプ中に行われた練習試合では、45分×4本で14-3というスコアを記録して川崎Fが勝利している。「練習試合はなかなか参考にならないと思っています。キャンプは準備期間ですから」とジョアン シミッチが言うように参考にはならないデータかもしれないが、マンツーマンディフェンスに対する苦手意識はほとんどないと言っていいだろう。川崎Fのパスワークで相手を引きはがせば、三笘 薫らが生きる広大なスペースも生まれる。
鬼木 達監督が「無敗記録よりも大事にしたい」としていたのは、仙台戦での反省を生かすこと。相手に二度追いつかれて、それも二度目は終了間際に失点を喫している。意思統一はできていても、最終盤は「疲れている中でミスが増え、冷静さを欠いてしまうと、頭では分かっていても決断する際に違う選択になることがある」(鬼木監督)。連戦が続く中、まさにそうした厳しい流れの中で大事になってくるのは強烈なリーダーシップや、ハッキリしたプレー選択になると指揮官は語っていた。そして何より、「勝ち切ること」(鬼木監督)。未定となっていた、今季のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)グループステージの集中開催地もウズベキスタンに決まった。ACLでは中2日で試合が続く強行日程になりそう。連戦の中での挽回力、そしてさらなる戦力の拡充……。川崎Fが求めるものは多い。この札幌戦、ダメージの残った引き分けを経て、メンタル的にも挽回できるかどうかが問われる一戦である。
[ 文:田中 直希 ]


