横浜FCは前節、川崎Fに1-3で敗れた。前々節に湘南から今季リーグ戦初勝利を挙げていただけに、勢いに乗り切れなかったのは最下位脱出を目指すチームにとっては痛いところ。ただ、J1リーグ戦無敗記録を更新中の王者を相手に、ワンサイドゲームでは終わらせなかった。
前半は終始川崎Fのペースでゲームを進められ、2点を追う後半、システムを[3-4-3]に変更する。これは大量失点を恐れて守りを固める策ではなく、前線から3枚がプレスを掛けて「前に行く姿勢」(早川 知伸監督)を引き出すためのものだった。立ち上がりに追加点を奪われたものの、高い位置でボールを奪って川崎Fを押し込む場面が増え、一矢を報いてみせた。勝点には何ら影響しない1点には違いないが、チームにもたらしたものは決して小さくない。「後半は守備に関しても攻撃に関しても、監督が代わって積み上げているものがしっかり通用する部分もあった」と韓 浩康は前を向いた。
横浜FCとしてはこの福岡戦で、つかみかけた手ごたえを確かなものにしたい。焦点は、先週のJリーグYBCルヴァンカップCグループ第6節・浦和戦、そして前節と連続で後半から採用した[3-4-3]をスタートからやるかどうか。「しっかり人に行けるようになった」(岩武 克弥)、「どこでプレスをスタートさせるのか、ボールの取りどころもハッキリした」(韓 浩康)と、選手たちもやりやすさを感じているようだ。セットプレーを含めてエミル サロモンソンのクロスを武器とする福岡の攻撃に対しても、中央を3枚のCBで守れるのはメリットだろう。
対する福岡は前節、湘南に2-1と逆転勝ちを収めた。6連勝のうち4勝で完封と守備力が高く、総得点の5割近くを占めるセットプレーを武器に勝ち切る勝負強さをJ1でも発揮している。特色は外国籍選手を8人も抱えていることで、エミル サロモンソンとドウグラス グローリが守備の軸。そしてジョルディ クルークス、ブルーノ メンデス、ジョン マリらのアタッカーが個の能力の高さを発揮してゴールに迫る。ルヴァンカップではカルロス グティエレス、カウエ、フアンマ デルガドらも活躍しており、外国籍選手の中での競争も激しく、それが日本人選手にも飛び火して活況を呈しているところが好調の背景にある。
外国籍選手が注目されがちな中で、この試合では志知 孝明にスポットを当てたい。昨季は横浜FCでプレーし、下平 隆宏前監督のポゼッションスタイルの中で力を発揮し切れなかったが、今季から水戸時代の恩師である長谷部 茂利監督率いる福岡に移籍すると、水を得た魚のように持ち前の推進力を発揮。第13節では決勝ゴールを挙げるなど活躍している。彼自身、この古巣戦に期するものがあるはずだ。
一方の横浜FCでも六反 勇治、松浦 拓弥、武田 英二郎にとっては古巣戦。J1で初めての歴史となるこの一戦がどう刻まれるのか、勝負の行方を楽しみにしたい。
[ 文:芥川 和久 ]
