その前節はFC東京との対戦だった。開始からわずか7分でアダイウトンにゴールを決められると、一気に呑み込まれてしまった。12分にFKからオウンゴールで追加点を許すと、24分にはCKからディエゴ オリヴェイラに決められて3失点。後半から藤本 憲明、中村 慶太を投入するなど立て直しを図るが、後ろを固めるFC東京に対してなかなかチャンスを作ることができず、逆に87分、再びCKからゴールを決められた。攻撃も振るわず、これで3試合連続ノーゴールとなった。新型コロナウイルス感染症による規制が緩和されつつあり、味の素スタジアムには約2,000人の清水サポーターが集まった。声を出さずとも、鳴り物や手拍子でホームであるかのような雰囲気を作り出したが、そのサポーターの前での惨敗だった。
ただ、ここから中2日で立ち上がらなければいけない。その相手は苦手とする札幌だ。2016年にJ2で対戦して以来、11戦で2勝9敗と圧倒的に負け越している。その中でも、2019年は2-5、0-8、昨季も1-5と大敗のイメージが残っている。清水戦で合計7得点、今季の対戦でもゴールを決めていたアンデルソン ロペスが海外移籍しており、“天敵”がいないのは朗報かもしれないが、セットプレーの守備の改善、そして攻撃をどう組み立てて、どうフィニッシュに持ち込むのかなど、課題は山積みだ。
そんな中、4日にロティーナ監督との契約解除がクラブから発表された。後任は平岡 宏章コーチとなった。昨季も11月1日に途中就任し、9試合で4勝2分3敗という成績を残している新指揮官の下、今節からの巻き返しを図る。
対する札幌は前節、湘南と対戦した。試合が動いたのは20分。駒井 善成が一気に前線へボールを送って攻撃のスイッチを入れると、最後は菅 大輝のクロスに青木 亮太が合わせて先制。しかし、その後は湘南にチャンスを作られる展開が続くと、64分だった。巧みなパスワークから最後は平岡 大陽に押し込まれ、同点に追いつかれた。
試合はこのままドローに終わったが、札幌はJ1残留を確定させた。ペトロヴィッチ監督は「札幌は5シーズン連続で残留した。クラブ規模を考えれば成功と言っていいだろう。厳しい戦いが続いてきた中で、J1で安定した戦いができるようになり、自分たちのスタイルも持てるようになった。一定の評価を得ているはずだろう。札幌のサッカーはこういうものだと知ってもらえたことも、われわれが勝ち取ったものの1つだろう」と胸を張る。そうした中で行われる今節、札幌は良く言えばノープレッシャーで戦うことができるが、一方で明確な目標がない中で戦うことになる。そうした難しい戦いを、指揮官はどのようにコントロールしてくるかが、この試合のカギになるだろう。
[ 文:田中 芳樹 ]

