磐田は勝ち切れない苦しい時期が続いている。前節・湘南戦は自分たちの狙いどおりにロングボールを織り交ぜながら、ビルドアップに工夫を凝らしたものの、チャンスを仕留められずにスコアレスドローで決着。リーグ戦では今季初めて無失点に抑え、最終ラインや守護神の三浦 龍輝を軸に粘り強い守備を見せたが、攻撃面の課題は克服できていない。
特にボール保持の局面では湘南の圧力を効果的にはがせず、自分たちが思い描いたように前進できていない。伊藤 彰監督はオートマチックに、そしてスピーディーにボールを動かし、相手の背中を取っていく攻撃を求めているが、相手の寄せが素早ければ素早いほど、局面ではがし切れない。前節に限らず、今季はこの大きな壁に直面している。
「ビルドアップも自分たちのゴール前ではなく、相手のゴール前によりスピーディーに、より安全にボールを持っていかなければいけない。いまのウチはちょっと低いところで回し過ぎている。そこは改善したい」と伊藤監督は話す。広島はハイプレスを掛けてくることが想定できる。相手が出てくるということはその裏には広大なスペースもある。表裏一体の“強み”をいかに突いていけるか。
そのためには、オーガナイズを維持するために素早くポジションを取り、そしてそこへ積極的にボールを入れていけるかが最大のポイントだ。選手は積極的にトライしていけるか、そこでつかむ成功体験が何よりもチームの成長を加速させてくれるはずだ。「ゲームの中で成功体験をつかむことがすごく重要になる」(伊藤監督)。チャレンジャー精神で、恐れることなく闘う姿を期待したい。
対する広島は4月に入ってから絶好調だ。J1開幕直後の2・3月は、勝ち切れない苦しい時期が続いたものの、4月の最初のゲームである第6節・湘南戦でリーグ初勝利を飾ると、その後は公式戦4連勝。特に前節・福岡戦は後半アディショナルタイムに柴﨑 晃誠のゴールでの劇的勝利と、勢いに乗っている。
リーグ戦では3試合連続無失点と守備が安定している。ハイプレスは後ろのスペースを空けるため、ボールホルダーに行き切れない場合はリスクも伴う戦術だが、対人能力に長けている3バックが最後の砦となっている。そこでしっかりと奪い切れる保証があるからこそ、前線からのハイプレスを貫ける。
さらに攻撃陣では背番号10を背負う森島 司が前々節・横浜FM戦で2ゴールを奪うと、水曜日のJリーグYBCルヴァンカップBグループ第4節・名古屋戦でも先制点をマーク。4月だけで3得点と波に乗っている。磐田にとってはここも警戒ポイントだろう。
[ 文:森 亮太 ]
