今節の中でとりわけ日本中のサッカーファンの耳目を集めそうな一戦が、パナソニック スタジアム 吹田で行われるG大阪と磐田の顔合わせだ。
G大阪は17位、磐田は18位。最初にこの試合の立ち位置を整理しておこう。例年にない混戦模様の残留争いではあるが、磐田は引き分け以下に終わった場合、三度目のJ2降格が決定する。一方、G大阪は引き分け以下でも即降格が決定するわけではないが、最終節のアウェイ・鹿島戦に向けて厳しい状態に追い込まれるのは間違いない。
J1のボトム対決であると同時に、生き残りを懸けた“究極のシックスポイントマッチ”になることは両者ともに理解済みだ。
松田 浩監督は25日に行われた公開練習後、「自分たちにできるのは目の前の試合に懸けること。勝点3を絶対に取りにいくということしかない」と力を込めた。前節は首位を走る横浜FM相手に粘り強い戦いを見せ、2-0で勝利。ファン アラーノに待望の加入後初ゴールが生まれただけでなく、守備陣も東口 順昭を中心にリーグ最多得点を誇る横浜FMをシャットアウト。2試合連続無失点で切り抜けている。
そして、やはりこの試合で注目されるのは帰ってきたエース・宇佐美 貴史の存在感だ。「彼は闘将のような部分も持っていますけど、一番は技術的な面でチームに安心感を与えてくれる」と松田監督も宇佐美の存在を手放しで称賛した。
右アキレス腱断裂という大ケガを乗り越え、ピッチに帰ってきた宇佐美の復帰後、チームは1勝1分。ボールを失わない技術の高さに加えて、横浜FM戦では精度の高いCKで得点を演出したが、松田監督も「これまで以上にCKの期待感も増している」と話す。
一方、10年前のJ1最終節でG大阪を下し、J2降格への引導を渡した格好の磐田にとっても、勝点3だけが逆転残留への処方箋である。前節は清水との“静岡ダービー”で先手を取られながらも、後半アディショナルタイムに同点ゴールをゲット。執念で勝点1をもぎ取るなど、直近の4試合は1勝3分。しかも10月12日に行われた第27節では横浜FMに土をつけており、決してチーム状態は悪くない。
注目は、やはり遠藤 保仁のパフォーマンスであろう。G大阪史上最高のレジェンドとして2020シーズンの10月まで所属した遠藤にとって、パナソニック スタジアム 吹田でのプレーは移籍後初。残留争いの大一番という独特の雰囲気が立ち込める場内ではあるが、磐田の背番号50に関してはG大阪のサポーターからも熱いコールが起きるのは間違いない。今節は上原 力也が出場停止。松田監督は名指しこそしなかったが、「老獪な選手もいる」と警戒感を口にした。
残留をめぐる因縁と、遠藤という偉大な選手への思いも交錯する濃密な90分になる。
[ 文:下薗 昌記 ]
