横浜FCにとっては三度目のJ1挑戦だ。一度目は2007シーズン、三浦 知良や久保 竜彦、奥 大介、山口 素弘ら多数の元日本代表を擁して臨んだが、わずか4勝、勝点16しか挙げられず、最下位でJ2に降格した。二度目の2020シーズンはコロナ禍で降格なしのレギュレーションの中、勝点33の15位を記録したが、翌シーズンは勝点27で再び最下位に沈み、降格の憂き目に。昨季は四方田 修平監督が新たに就任し、J2で2位となり1年でのJ1復帰を果たした。今季の目標はもちろん残留。目標勝点を『42』に設定し、過去に果たせなかったJ1定着への足がかりとなるシーズンにしたい。
昨季からチームは大きく変わった。相手ゴールの近くでゲームを進め、攻撃ではゴールゲット、守備ではボールゲットを目指す『猛攻奪取』が今季のコンセプト。それを体現するために期限付き移籍からの復帰を含めて20人の新戦力を加え、選手39人の大編成を組んだ。2017シーズンに昇格1年目の札幌を率いて11位に導いた四方田監督は「切り替えとインテンシティーをJ1仕様に上げていかないと土俵に立てない」とし、プレシーズンから強度の高いトレーニングをチームに課してきた。多少のケガ人が出ることは覚悟の上で、そのための39人編成でもある。コンセプトがチームに浸透し、Jクラブとの練習試合を通じて選手たちは口々に「やりたいことができている」と手ごたえを語った。
また、大編成であることはそのまま層の厚さ、競争の激しさをもたらした。CBのンドカ ボニフェイス、吉野 恭平、ボランチのユーリ ララ、三田 啓貴は即戦力。2列目には新10番のカプリーニのほか、井上 潮音、高井 和馬、坂本 亘基、新井 瑞希らJ2で実績を残した野心的な選手たちが加わり、昨季は主将を務めJ2ベストイレブンに輝いた長谷川 竜也でさえポジションは安泰ではない。おそらく開幕スタメンに新加入選手が半数以上は名を連ねるだろう。FWは本格派のストライカーを獲得しなかったが、昨季J2で26ゴールを挙げて得点王となったエース・小川 航基が練習試合から得点を量産しているのは心強い。
一方の名古屋は昨季のJ1で8位。長谷川 健太監督が新たに就任し、リーグ最少タイの35失点と堅守を誇ったものの、得点数はリーグワースト2位タイの30点にとどまった。長谷川監督体制2年目、目標のリーグ優勝に向けては得点力不足の解消が最大の課題であり、その解決策として浦和からキャスパー ユンカーを補強。強力なセンターFWを得たことで、右ウイングにマテウス カストロ、左ウイングに永井 謙佑を配する3トップはリーグ屈指の破壊力となるだろう。
横浜FCがいくら手ごたえを得ているとはいえ、練習試合の相手にここまでの強力攻撃陣はいなかったはずだ。横浜FCの最終ラインと名古屋の前線3枚だけでぶつかるなら分が悪い。だからこそ、キャンプから積み上げてきた切り替えと強度の高い前線からのプレスで名古屋に主導権を与えないことが肝心だ。そのアグレッシブさをひっくり返されて大敗するリスクも背中合わせだが、優勝を目指すビッグクラブから勝点を得られれば横浜FCにとっては大きな自信となる。横浜FCにとっては今季の戦い方を占う、重要な一戦だ。
[ 文:芥川 和久 ]
