鳥栖は前節、アウェイで福岡との“九州ダービー”に臨んだ。立ち上がりから強固なブロック守備と迫力あるクロス攻撃を展開する福岡に苦戦を強いられると、前半終了間際には長沼 洋一が退場。後半の45分間を1人少ない状況で戦うことになったが、GK朴 一圭をビルドアップに加えることで、得意とするボールを運ぶ作業に関しては数的不利を感じさせず。守備でも[4-4]のしっかりとしたブロックを形成し、福岡の攻撃をはね返す。終盤にはカウンターから際どい場面も作り出すなど、勝利の可能性も感じさせた。結果はスコアレスドローに終わったが、12日間で4試合を戦う連戦の最後だったことや退場者が出たこと、中6日だった相手よりも試合間隔が短かったことなどを考えれば、価値のある勝点1だったと言っていいだろう。
対する新潟は前節、ホームで横浜FMと対戦。前半は横浜FMにやや主導権を握られる形になったが、粘り強く対応し、無失点で進めていく。しかし、前半終了間際にCKの流れから失点を喫し、ビハインドで折り返す。後半、守備の局面で前からの圧力を強めると、一気に試合のペースをつかむ。その流れから57分、相手のビルドアップに制限をかける形で高い位置でのボール奪取に成功。ここから繰り出されたショートカウンターを伊藤 涼太郎が完結させ、同点に追いつく。押せ押せになった新潟は67分、三戸 舜介がJ1初ゴールとなる強烈なミドルシュートを突き刺し、逆転に成功。その後も攻撃的な守備を貫き、前年王者相手に見事な逆転劇を演じ切った。
6年ぶりの対戦となる両者だが、リーグ戦での通算対戦成績は鳥栖から見て6勝5分21敗と、新潟が好成績を誇る。しかし、J1での対戦に限れば、鳥栖の5勝7敗と接近する。ともにホーム戦のほうが勝率が高いカードとなっているが、今回も過去の流れを汲むことになるのか、注目したいところだ。
過酷な連戦の中でも鳥栖はビルドアップに変化を加え、その質を向上させてきた。川井 健太監督も「われわれがどういうふうにボールを運ぶか、そこからどうやってゴールを奪うかというところは、みんなで共通理解はできたと思います。そこからもっとゴールを奪うというのはちょっと変化も加えないといけないかなと思いますが、そこは良くなっている」と手ごたえを感じている。鳥栖も新潟もボールを保持した局面で強さを発揮できるチーム。「新潟もポゼッションがうまいチームですし、彼らのテンポを出させてしまうと僕たちのサッカーができなくなってしまう。逆にこちらが先に自分たちのテンポを出して流れをつかめれば相手は難しくなると思う。どちらが長く主導権を握れるかがポイントだと思います」と、藤田 直之もボール保持を1つのテーマとして掲げる。
見ごたえのあるゲームになる可能性は十分。当該サポーター以外にとっても必見の価値ありの一戦になることは間違いないだろう。
[ 文:杉山 文宣 ]
