となれば、首位のチームが優位であると考えるのが当然かもしれないが、他国と比べて順位が結果に反映されないと言われるJリーグにおいて、特にこのカードは現在の順位を度外視したほうがいいだろう。
逆の見方をすれば、4回のリーグ優勝を誇っている上、2017年以降に限れば最も優勝回数が多いチームが、今季初めて明治安田J1に挑戦するチームを迎えるという見方もできるが、それもまた、現在の状況やこの試合を展望する上でも関係ない。
ホームの川崎Fは第2節から第4節までで3連敗を喫し、その結果がいまの順位に反映されているが、前々節のFC東京との“多摩川クラシコ”は3-0で完勝。前節の横浜FMとの“神奈川ダービー”では、退場によって10人になりながらも最後まで戦い抜き、ただ守り切るだけではなく、チャンスも作りながら勝点1を手にした。
確実に状態を上げている中、町田戦に向けて、キャプテンの脇坂 泰斗は「もともとJ1にいるチームとか、上がってきたチームとかは関係なく、強いチームが上にいるもの」と町田に敬意を表しつつ、「攻撃で違いを出したいし、圧倒したい」と力を込める。それは攻撃的なチームとしてのプライドだけではなく、町田がいまいる順位こそが自分たちが立つべき場所だと考えているからだ。脇坂に加え、あらゆる経験を重ねた町田出身のストライカー・小林 悠が「本当に強いチーム」と話すなど、簡単なゲームにならないことは分かっている。
脇坂は「向こうの良さは絶対に消さなければいけない」と話す一方、「自分たちの良さが出ないと勝てるものも勝てない」と語気を強めた。町田の長所である球際の強度やセカンドボールの回収は川崎Fも普段から意識するところだが、それ以上にボール支配力、技術で相手の長所を空虚化したい。
一方、町田は前節の広島戦、6試合目にして初めて先制を許し、初めての敗戦を経験した。広島にフォーメーションを合わせて真っ向勝負を挑み、長所であるはずの球際の攻防やセカンドボールの回収で上回られた。
ただ、川崎Fにも真っ向勝負を挑むことは間違いないだろう。開幕前、トレーニングキャンプ中に対戦しており、あくまで練習試合やそれぞれの状況が異なっていたなど、さまざまな要素があるとはいえ、3-0で快勝したことは自信になっているはずだ。
小林は川崎Fからの視点として「圧を余計に感じてしまうと自分たちのパスが少しずつズレたり、リズムが良くないと感じ始めると相手が『やれているぞ』と思ってくるので、そういうところのメンタル面や、相手が来ていてもやれるかということになると思う。強気にやれるかどうか」と試合のポイントを語ったが、逆に町田は相手のミスを誘発する圧を掛けたい。
相手の良さを消しながら自らのストロングポイントを出すのはどちらか。手法は異なるが、狙いは同じ。逆に言えば手法が違うからこそ、ピッチで繰り広げられる攻防は見ごたえがあるはずで、どちらが優位に試合を進めているかが分かりやすいエキサイティングな試合になるだろう。
[ 文:菊地 正典 ]


