その試合は、東京Vにとって今季のターニングポイントの1つと言えるゲームだった。1週間前の明治安田J1第15節で町田に0-5と大敗。城福 浩監督就任以前から継続してきた4バックシステムをいったん封印し、3バックに切り替えて臨んだ1試合目だった。指揮官が「プランの中にはあった」というシステム変更は、長年同じ形でやり続けてきたチームにとっての変換点。そして、その神戸戦で勝利をつかみ、現在も3バックを続けている。
前回の神戸戦ではうまく攻撃が回らず、守備の時間が増えた。しかし、その後は第28節から第31節にかけて4連勝を達成するなど一つひとつの課題を解消させて、「3歩進めば2歩下がる」(城福監督)というような歩みを見せてきた。結果、3位の町田とは勝点6差の6位という位置にいる。また、4位の鹿島とは勝点3差(※鹿島は消化試合が1試合少ない)。神戸が天皇杯を制覇する可能性があることなども踏まえれば、4位になってもAFCチャンピオンズリーグ2への出場権が付与される。そうなれば昇格1年目のチームとしては、そして多くの有識者に苦戦を予想されていた中では、胸を張っていい快挙だ。
いまの東京Vは当初の目標であるJ1残留を決め、「1つでも上の順位を」と意識を統一させている。森田 晃樹と齋藤 功佑のボランチコンビは充実の一途で、翁長 聖と宮原 和也の“兄貴分両サイド”は圧巻の攻守の切り替えを見せ、守備では安定の働きぶり。前線では激しい先発争いが勃発していて、前節の新潟戦で得点に絡んだ山田 剛綺と見木 友哉が半歩前に出ている状況だ。その2人よりも得点を決めてきた染野 唯月や山見 大登、さらには松村 優太やチアゴ アウベスらもその座をうかがう。センターFWには、神戸の育成組織出身である木村 勇大がいる。
日本を代表するアタッカーがそろう神戸の前線に対するのは、谷口 栄斗と綱島 悠斗というアカデミー出身者と、J3でのプレーから成り上がってきた千田 海人という3バックだ。『成長』をキーワードにする“城福ヴェルディ”を象徴するような3人が、大迫 勇也や武藤 嘉紀、そして初の2ケタ得点をマークして勢いに乗る宮代 大聖らを迎え撃つ構図となった。
まさにチャレンジャーとして、連覇と東京V戦のリベンジを期す神戸と対するわけだ。
神戸はリーグ戦に天皇杯、そしてAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)も戦う過密日程の真っ最中。ミッドウィークのACLEリーグステージ第4節・光州(韓国)戦ではメンバーを入れ替えながら臨んで、2-0の勝利をつかんでいる。3つのタイトル獲得に向けて機運は上昇しており、さらに負傷者が練習に続々と合流しているという情報もある。
「本当に強い」。東京Vの木村は神戸の戦いを見てそう述べていた。また、「押し込まれる場面も増えるとは思うが、局面で戦う部分で負けていたら勝負にならない」と、バチバチのバトルに挑む覚悟を語っている。
Jリーグを代表するタレント集団と、成長著しい若いチーム。好調同士がぶつかり合う、注目の一戦だ。
[ 文:田中 直希 ]
