さかのぼること2023年12月2日、J1への最後の切符を争うJ1昇格プレーオフ決勝で激突した東京Vと清水。5万人を超える大観衆が集まった激戦の結末は、最終盤で同点に追いついた前者が、『90分で引き分けの場合はリーグ戦年間順位が上位のクラブを勝者とする』というレギュレーションによって実に16年ぶりのJ1復帰を果たした。
その翌年に国立で開幕戦を戦った東京Vは、昇格初年度を6位でフィニッシュ。J2で磨き上げてきた、全員で攻守にハードワークするスタイルをトップの舞台でも貫き通し、大きなサプライズを起こした。
さらなる飛躍をもくろむ今季、他クラブから期限付き移籍で在籍していた木村 勇大、染野 唯月、山見 大登、林 尚輝をそれぞれ完全移籍で獲得する形で慰留に成功し、磐田から平川 怜と鈴木 海音、G大阪から福田 湧矢といった実力者も加わった。
そして、昨年の関東大学リーグ1部で無敗優勝を飾った明治大から熊取谷 一星と内田 陽介、全日本大学サッカー選手権大会を制した東洋大から新井 悠太が加入(新井 悠太はJFA・Jリーグ特別指定選手として2023、24年に東京Vでプレー)。地盤を固めつつ、“新鮮力”の台頭にも期待が寄せられる。
状況としては1年先にJ1へと上がった東京Vが清水を迎え撃つ形にも見える。しかし、キャプテンの森田 晃樹は言う。
「チャレンジャーというか、僕たちが挑むという気持ちでやるのが大事だと思う。それがこのチームの強みでもあると思う」 今季も“成長”をキーワードに躍進を目指す東京Vにおいて、自らを格上だと慢心する選手は1人もいない。城福 浩監督も「勝敗というのは約束されるものではない。ただ、われわれが何を見せるかという姿勢はわれわれがやれること。キックオフからその姿勢を見せたい」と士気は高い。
一方の清水は、国立で流した涙を力に変えて昨季明治安田J2を制覇。元日本代表の乾 貴士、北川 航也ら豪華な攻撃陣をそろえ、リーグ2位のゴール数を叩き出してJ1へと戻ってきた。
今オフには、こちらも昨季のチームを支えた住吉 ジェラニレショーン、蓮川 壮大、宇野 禅斗といった他クラブからの期限付き移籍組を完全移籍に移行し、主力が残留。また、ブルガリア代表ストライカーのアフメド アフメドフや、カピシャーバら助っ人を補強し、韓国でプレーしていた小塚 和季、大分から弓場 将輝も獲得した。
さらに、2023年には東京Vの選手としてプレーオフを戦っていた中原 輝が鳥栖から期限付き移籍で加わっている。古巣戦に臨む中原 輝は「大きく成長したヴェルディとガチンコで、しかも国立という大舞台でやり合えるのは燃えるものがある」と闘志を燃やす。
そんな元同僚について染野 唯月は「本当に良いキックを持っている。そこは警戒しなければいけない」と話した。かつて緑のユニフォームをまとって猛威を振るった左足は、東京Vの脅威となるに違いない。
挑戦、成長、悔恨、古巣――。さまざまな思いが交差する“国立再戦”は、東京Vが再び歓喜に沸くのか、それとも清水がリベンジを果たすか。日曜日の14時、聖地で激闘を演じる彼らに、くぎづけになるはずだ。
[ 文:藤井 圭 ]


