両チームの共通項は、クリーンシート数がリーグトップタイの『4』を記録しているデータが象徴するように、お互いに堅守が持ち味であること。特に川崎Fの総失点数『3』はリーグ最少。一方の町田も屈強な3バックを軸に、ちょっとやそっとでは崩れない守備組織を構築している。得てして堅守を武器とするチーム同士の対戦はロースコアの展開に陥りがちで、セットプレーが勝敗のカギを握るケースも少なくない。
直近2試合の町田はCKと直接FKでゴールを奪っており、セットプレーの得点力を重視する指揮官の“黒田イズム”が結果につながってきた。ただ、川崎Fが町田の得点傾向を警戒すればするほど、町田がセットプレーで相手ゴールをこじ開けるのは難しくなるだろう。余計に手堅い試合に拍車がかかるかもしれない。
もっとも、川崎Fは伝統的にボール保持の状況から相手を崩すことに長けたチーム。あの手この手を尽くして、町田の3バック攻略のチャンスをうかがってくるに違いない。攻撃の手札も多く、柔軟性に優れた川崎Fが町田のゴールをどのようにこじ開けるかは一見の価値がある。
また、ホームの町田にはどうしても勝ちたい理由がある。町田のホームで戦った昨季の明治安田J1第33節は川崎Fが4-1と逆転勝利。町田としては屈辱的なスコアで敗れているため、雪辱を期す気持ちは強い。ケガの影響で欠場し、スタンドからその試合を見守った下田 北斗は「昨季いたメンバーはその試合の結果を忘れていないと思う」と話している。
さらにこの一戦は、個人視点でも見どころが多い。例えば町田加入1年目の前 寛之と川崎Fの長谷部 茂利監督は、水戸と福岡で計7シーズン、選手と監督の間柄だった。長谷部 茂利監督の下から“巣立つ”格好で新天地に移る際、長谷部 茂利監督とコミュニケーションをとった前 寛之は、「またお互いにどこかのチームで一緒にやることがあるかもしれないけど、お互いに頑張るしかないね」(長谷部 茂利監督)という話をしたとのこと。すでに主力として定着している前 寛之が、恩師の前で成長した姿を見せたいと思うのも無理はない。
また、川崎Fのゴールを守っている山口 瑠伊にとって、町田は昨季途中まで在籍していた古巣。なお、山口 瑠伊が公式戦で町田GIONスタジアムのピッチに立つのは、昨年6月12日の天皇杯2回戦・筑波大戦以来のことだ。川崎Fの守護神として“野津田凱旋”を果たす山口 瑠伊のプレーにも注目だ。
昨季は二度の古巣戦のチャンスで出場がかなわなかった下田 北斗を含め、この一戦に懸ける選手たちの強い気持ちが交錯した上位対決。熱戦は必至だ。
[ 文:郡司 聡 ]
