ここへ来て調子を上げてきた神戸。ノエスタに川崎Fを迎えた直近のJ1第12節は、高強度やハードワークを軸に攻守ともにアグレッシブな戦いぶりを披露。自慢のハイプレスで相手のポゼッションを無力化し、ボールを奪えば絶えず前にアクションを起こし続けた。「攻守に神戸らしさを出せた」と吉田 孝行監督が胸を張る完勝劇。今季初のホームゲーム勝利、そして同じく今季初の連勝を飾っている。
開幕から続いたケガ人続出の事態が徐々に緩和され、2連覇の原動力でもある“競争と共存”が戻ってきたことが最大のポジティブ材料。指揮官は「チームみんなが競争して、お互いを高め合ってできてきている」と選手個々の取り組む姿勢に目を細める。
チームは目の前の試合を制することに全力を傾けるが、選手にはそれぞれの役割がある。ここ2戦は途中出場で連勝に貢献した扇原 貴宏は「誰が出てもヴィッセルらしいサッカーをすることが大事。途中から出るにしても自分の役割をまっとうするだけだし、チームのためにやれることをやりたい」と話す。訪れる出番で自身の持てる力をいかに発揮するか。準備と本番のサイクルに高い集中力で臨む扇原 貴宏の言葉に、神戸に育まれる不惑のメンタリティーが詰まっている。
一方、ここまで堅調な戦いを続けている町田。前々節・川崎F戦で引き分けて3連勝を含む負けなしを『6』に伸ばし、首位に立った。現在4得点の西村 拓真や2得点4アシストの相馬 勇紀らを筆頭にクオリティーの高い攻撃を見せるなど、J1昇格2年目も堂々とした戦いを見せている。
ただ、前節は浦和を相手に0-2で敗戦し、順位は7位に後退。失点はセットプレーと相手GKのキックを起点に一気に中央を破られて喫したものであったため、徹底した改善が必要だろう。内容的にも完敗で、2試合続けての2失点。元来堅い守りが持ち味なだけに、今節はそれを取り戻したい。
神戸は4バック、町田は3バックとシステム上の違いはあるが、いずれも相手陣に押し込んでサッカーを展開したいチーム。攻撃面では、神戸は大迫 勇也や佐々木 大樹ら、町田はオ セフンら前線で起点を担う選手へのダイレクトなボールも効果的に活用。そして、守りの面では強度のある守備を含めて、相手の自陣からの脱出を阻害しながら戦う。クロス攻撃も両者のゴール攻略の主体だ。
町田のチャンスメークの軸は、相馬 勇紀や中山 雄太らが担う左サイド。正確なクロスでチャンスを演出する町田の強みに対し、同サイドで向き合うのは神戸の右サイドの門番・酒井 高徳。彼を中心に、守備時には[4-4-2]の右ボランチとなる井手口 陽介、契約により期限付き移籍元の町田との一戦には出場できないエリキが直近で務めた[4-3-3]の右ウイングに起用される選手らを含めたマッチアップは注目。同様に宮代 大聖や汰木 康也らが担う神戸の左サイドの連動性は一級品であり、大迫 勇也らと町田CB陣の激突も必見だ。どちらが自らの強みを発揮できるか、見逃せない攻防が各所で繰り広げられる。
[ 文:小野 慶太 ]
