岩手は例年、年始のキャンプを関東や四国などで行い、そのままリーグ開幕を迎えるケースが多い。今季も例にもれず、開幕からのアウェイ2連戦はキャンプ地から直行。3月に入り、チームはようやく地元に戻ってきたばかりという状況だ。
今季は明治安田J3を2試合戦い、ともにドローで勝点2を得ている。昨季途中に就任した中三川 哲治監督の下、新シーズンでどのようなサッカーを見せるのかに注目が集まっているが、ここまでは押し込まれる時間帯が長く、その片りんはなかなか見えてこない。
開幕戦では昨季のJ3最終節の相手・讃岐と対戦。8分に西 大伍の素晴らしいミドルシュートが決まり、幸先よく先制に成功する。その後も何度かチャンスを作ったが、15分過ぎからは立ち位置とビルドアップの形を変えてきた讃岐に対応できず防戦を強いられる展開に。そして後半に失点し、流れを取り戻すことなく終了。第2節・北九州戦でもほとんどの時間で主導権を握れなかったが、なんとかドローに持ち込んだ形となった。
そんな中でも光明となっているのは新戦力の活躍だ。早稲田大から加わったルーキーの小松 寛太は人材豊富なシャドーのポジションにあって、2試合連続でスタメンを張るなど、信頼度の高さがうかがえる。実際のプレーも、気の利いたポジショニングとボールキープの巧みさで起点となり、多くのチャンスに絡んでいる。また、開幕戦で1トップを務めた深堀 隼平、ボランチの新里 涼も期待どおりのパフォーマンスを見せ、小暮 大器は素晴らしいクロスで第2節の勝点奪取に貢献するなど、個にフォーカスすれば明るい材料もある。新加入の都倉 賢の得点力も含め、こういった長所をチームとしてどう生かすか。組織としての強さをさらに向上できれば、格上相手の勝利も夢ではない。前の試合から中10日ということも、コンディションや戦術面のブラッシュアップに追い風となるだろう。
一方の栃木はここまでJ2で3試合を戦い、1勝2敗。開幕2試合はともに3失点での敗戦と不安なシーズンインとなったが、リーグ前節・甲府戦ではPKで追いつかれた中、途中出場の宮崎 鴻が貴重な勝ち越しゴールを決めて今季初勝利を届けた。昨季岩手でプレーしたGK丹野 研太の好セーブ連発も勝因の1つとなったが、チームとして1つのきっかけになるようなゲームになった。
栃木は公式戦5連戦の2試合目、岩手も同4連戦の初戦となるだけに、互いにどのようなメンバー構成で臨むのか。岩手の中三川監督はシーズンの展望に際し、「底上げのためにもルヴァンカップなどで若手を起用していきたい」と言及。デビューを飾る選手が増えることも想像に難くない。
岩手にとっては今季初めてのホーム戦となる。長い遠征では体調不良者なども出たが、地元を拠点にする今月からはコンディション面も向上するはず。サポーターの前で今季初勝利を届け、リーグ戦での巻き返しに向けて勢いを増していきたい。
[ 文:髙橋 拓磨 ]