絶望の淵からはい上がった。3連敗を喫した直後には自身の進退にまで言及していた名古屋の長谷川 健太監督。明治安田J1第4節・柏戦からシステムを昨季まで採用していた[3-4-2-1]に切り替えると、粘り強さが戻った。前々節・横浜FM戦では、前半に2人の負傷者を出しながらも劇的な逆転勝利。前節・札幌戦も多くの選手を負傷などで欠き、試合の主導権は相手に完全に握られたものの、終了間際に生まれたベテラン・永井 謙佑の逆転ゴールによって、3試合続けて勝点3を積み上げることができた。
今節は、名古屋にとって今季初の3連戦最後の試合となるが、極めて重要な一戦だと言える。それは、このまま一気に上位争いに加わりたいという意味合いもあれば、勝点1差と順位の近い福岡との対戦ということもある。しかも福岡とは昨季JリーグYBCルヴァンカップを含めて四度対戦し、最初のホーム戦(J1第17節)は2-1で勝利を収めたものの、以降の3戦はいずれも0-1で敗戦。相手に主導権を握られ、攻め込んだ場面でも堅守の壁を突き破れず、守り切ることもできなかった。同じ相手に4連敗を喫してしまえば、これまでの対戦成績(リーグ戦およびルヴァンカップ)がいくら20勝2分8敗と良かろうが、苦手意識も生まれかねない。
注目は攻撃陣だ。開幕前には鉄板の先発コンビと目されていたエースのキャスパー ユンカーと山岸 祐也がピッチに戻れるかは不透明な状況で、台所事情はいささか苦しい。その中で前節はパトリックがセンターFWに入り、司令塔の森島 司と大卒1年目の倍井 謙がトップ下に入った。しかし、チーム全体が重かったこともあるが、そのユニットはうまく機能していたとは言えず、動きが良くなったのはパトリックに代わって永井が登場してからだった。
もちろん、パトリックが力を発揮できる展開にならなかっただけで、彼を生かす攻撃パターンを作り出すことも必要となるだろうが、まずは現状の戦力で最大限の力を出せる組み合わせを確立したい。そして首尾よく逆転はできているが、後半になればゴールできるという過信をせずに、立ち上がりから自分たちのリズムで攻撃をしていきたいところだ。
対する福岡はここまで2勝2分2敗と、名古屋と同様に五分の成績。前節・鹿島戦は宮 大樹のクロスをシャハブ ザヘディが頭で決めて先制すると、今季初出場となったGK村上 昌謙やドウグラス グローリらの体を張った守備でクリーンシートを達成。得意の“ウノゼロ”で連敗を『2』で止めた。
福岡も上位を狙うためには負けたくない一戦だ。前節は中3日で先発を4人入れ替えたが、結果を出したこと、そして連戦は今節で終わることを踏まえ、どんなメンバーを長谷部 茂利監督がチョイスするのか。また、2戦連続ゴール中のシャハブ ザヘディは相手に脅威を与える存在だが、ウェリントンも名古屋とは好相性で、昨季はリーグ戦とルヴァンカップで二度決勝ゴールを挙げている。苦手意識のなくなった名古屋を相手に“三度あることは四度ある”とばかりに昨季の再現を狙う。
[ 文:斎藤 孝一 ]
