第1戦は福岡にとってまさに乾坤一擲の勝利だった。直近の天皇杯準決勝・川崎F戦から中2日という厳しい日程で、先発をセカンドグループ(控え組)に切り替え、天皇杯から10人を変更して臨んだ。それでも、前半はほとんどの時間で主導権を握って名古屋ゴールに襲いかかると、終了間際に相手のミスから高い位置でボールを奪い、紺野 和也のクロスを鶴野 怜樹が頭で押し込んで先制点を挙げる。そして後半、最終ラインは集中力を切らさず、虎の子の1点を守り切って有利な状況で第2戦に臨めることとなった。
第2戦で、福岡は温存していたファーストグループ(主力組)が中心のメンバー構成になるだろう。そのメンバーはセカンドグループが勝利を挙げたことで、気持ちも引き締まったはず。名古屋とのアウェイ戦では2000年4月のJ1・1stステージ第4節以降勝利がないが、団結力と勢い、そして持ち前の堅い守備で決勝進出を目指す。
一方、90分で逆転するためには2ゴール以上が必要となった名古屋。しかし、8月以降は完全に“ゴール欠乏症”という病に冒されている。90分以内で複数得点を挙げたのは、8月2日の天皇杯ラウンド16・浦和戦(3○0)のみ。ルヴァンカップ準々決勝第2戦・鹿島戦では延長後半に2点目を挙げ、準決勝への勝ち上がりを決めたが、その試合を含め、90分では公式戦ここ12試合で複数得点を挙げられていない。
攻撃の核だったマテウス カストロがアル・タアーウン(サウジアラビア)に移籍したことも大きな原因だが、実力のある新戦力を生かすことができていない。
「チームは0.5歩でも0.3歩でも前進をしている」と、主将の稲垣 祥は自分たちのできることをやり続けるだけと前を向いているが、早急に結果を得られなければタイトルを逃がすことになる。ポイントはやはり得点という部分になる。
第1戦では後半にキャスパー ユンカーをピッチに送り込み、シュート1本だった前半からリズムを変えることにつながった。キャスパー ユンカーはリーグ戦2試合連続ゴール中と、現在最もと言うか、唯一得点のにおいがする選手。長谷川 健太監督はプライムステージに入って、同じFWの中島 大嘉を『U-21枠』で起用しているが、FWに誰をチョイスして『U-21枠』に誰を使うのか。指揮官の采配にも注目が集まる。
ただ、名古屋には良いデータもある。それは上記のとおり福岡にホームで23年間負けていないということだけでなく、今季のホームゲームは1敗のみという事実。加えて、この試合は今季豊田スタジアムで行われる最後の試合で、選手たちも気持ちが入るだろう。
今季はアウェイゴールルールがなくなり、単純に2試合の得失点差と分かりやすさもあるルヴァンカップ。果たして決勝にコマを進めるのは名古屋か、福岡か。タイトル奪取のために、ここで負けるわけにはいかない。
[ 文:斎藤 孝一 ]
