ホームの名古屋は現在4勝5分5敗で13位。前節は劇的な勝利で今季初の連勝となった。1-1で迎えた後半アディショナルタイム。柿谷 曜一朗のパスを受けた途中出場の相馬 勇紀が右足を一閃。雨でスリッピーな芝と、前節から新しく採用されたボールの特性を生かしたミドルシュートは、左ポストの内側に当たりゴールイン。打った本人も「すごかったですね。本当に良いシュートが入ったと思います」と、思わず自画自賛するほどのシュートで、勝点1をギリギリで勝点3に変換することができた。
その相馬のゴラッソ以外にも、名古屋にはポジティブなプレーがあった。これまで13試合を消化してセンターFWを本職とする選手が挙げた得点がなく、長谷川 健太監督も「前線は得点を取ってナンボ。自分が得点を取ってチームを勝たせるという気概を持ってほしい」と発奮を促していたが、ようやくFWの酒井 宣福がマテウス カストロのクロスをヘディングで合わせてゴールをゲット。指揮官は本職FWの得点と1試合での複数得点を浮上のカギに挙げており、これでその条件がそろった形だ。
今節の名古屋の注目ポイントは、引き続きFWの得点と複数得点が生まれるか。サッカー界には“ケチャドバ”という言葉があり、その語源となるのは元オランダ代表の名ストライカー・ファン ニステルローイが「ゴールはケチャップみたいなもの。いくら頑張っても出ないと思ったら、一気にたくさん出たりする」と同僚のゴンサロ イグアインにアドバイスした言葉とされるが、名古屋はここでいうケチャップのように、これまで出なかったゴールがドバドバ出れば、今後の逆襲にも期待が持てる。福岡は14試合9失点とリーグ随一の堅守のチームだが、そこから複数得点を奪えたらなおさら自信を持てるだろう。
その福岡は、ここまで4勝6分4敗で10位。上記のように失点数はリーグ最少だが、得点数は『11』とリーグワースト3位の数字。スタイルとしては堅守を貫き、1点を取って勝っていると考えがちだが、実は1-0での勝利は2試合で、残りの2試合は5-1(第11節・FC東京戦)や3-2(第5節・G大阪戦)など、まさにゴールが取れるときは“ケチャドバ”状態になっている。
前節は、横浜FMの攻撃を体を張った守備でしのぐと、58分に左サイドのスローインから山岸 祐也がヘディングでフリック。そのボールをフアンマ デルガドがつなぎ、ジョルディ クルークスが落ち着いて流し込んで先制点を奪った。その後は相手に退場者が出るなどの波乱もあったが、数的優位も生かして逃げ切り、2001年以来21年ぶりに横浜FMを撃破した。
福岡もこの良い流れを維持できるかが見どころ。先制点を奪い、武器である堅守を存分に発揮すれば、名古屋に対しても2000年以来のアウェイ戦勝利(当時は延長Vゴール方式)の可能性が高まる。
昨季まで堅守を武器としていた名古屋と、今季最も堅守な福岡の対戦。ロースコアでの決着か、それとも“ケチャドバ”か、歴史的にも楽しみな一戦である。
[ 文:斎藤 孝一 ]
