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第17節 6.1(土) 15:00KO 国立競技場 鹿島vs横浜FM 国立競技場に10,000名様無料ご招待
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J.LEAGUE.jpが今注目するJリーグ期待の若手選手とそこで長年活躍している先輩選手が、サッカーに対しての互いの想いを語り合うひととき「Young Guns Talk」。第5回は川崎フロンターレの中村 憲剛選手、板倉 滉選手にお話しを伺った。聞き手はJリーグ副理事長の原 博実。

能力を5角形のグラフで表すと、正5角形になってしまう感じ。いびつな形になってもいい。

  • :まずはお互いを紹介してよ。
  • 中村
    :(板倉)滉は今20歳で、小学生の時からフロンターレ一筋で、トップに上がって3年目の選手です。去年はチャンピオンシップにも出ましたし、上り調子の若手だと思います。プレーの特徴としては身長があるんですけど、足元の技術も高くて、ヘディングも強い。ディフェンスもかなり激しくやれるタイプなので、うちにはなかなかいないタイプかなと。だからどんどん伸びていってほしい選手のひとりです。
  • 板倉
    :はい。がんばります。憲剛さんは僕が小学校の時からプロでやっていて、一番好きな選手でした。ずっと憧れの目で見てきていたので、プロに入って一緒にプレーしているのは今でもすごく幸せなことだと感じています。プレーの特徴は、皆さん見ていても分かると思いますけど、止めて蹴る技術は一番上手いと思っていますし、その中でも、グラウンドを上から見ているんじゃないかというくらい、視野が広くて、今、なんで見えていたんだろうという場面もたくさんある。相手にはしたくない選手だなと、一緒に練習していて思いますね。
  • :板倉に聞きたいけど、最近の若手はどういうタイプの選手が多いと思う?
  • 板倉
    :個人個人、上手い選手が多いというのは感じます。世代別の代表に行かせてもらってそれを感じましたし、試合に出ている人も多いので、このまま同世代で頑張っていきたいと思います。
  • :性格的にはどんなタイプの選手が多い?
  • 板倉
    :大久保嘉人さんみたいな人はあまりいないですよね。ギラギラした雰囲気を出しているような選手は。中にはそういう選手もいますけど。
  • :憲剛はどう思う?
  • 中村
    :今の若い子はあんまり表情に出ないですよね。内に秘めている熱量はすごくあるんですけど、表に出ないから、たまに何を考えているか分からない時もありますね(笑)。たぶん、そういう世代なんじゃないですかね。それはここ数年凄く感じていて、コミュニケーションを取っていても、ん? ってなることが結構ある。本当に分かっているのかなって。技術的にはみんな上手いですけどね。
  • :上手い選手は確かに増えたけど、平均的に上手いんだよな。憲剛とか小笠原(満男)とか、遠藤(保仁)みたいに、誰が見ても、この選手だって分かる選手が少ない気がするよね。
  • 中村
    :能力を5角形のグラフで表すと、正5角形になってしまう感じですよね。いびつな形になってもいいと思うんだけど、育成年代を経て、そういう選手になっていっちゃうのかなと思いますね。
  • :そういう面で見ると、板倉はちょっと違うタイプだし、ストッパーだけじゃなくて、ボランチもできるから期待したいよね。個人的には、どっちで勝負したいの?
  • 板倉
    :自分のなかではボランチで勝負したい気持ちはありますね。ディフェンスの選手ですけど、攻めるのが好きなんで。
  • :憲剛はどう思う?
  • 中村
    :後々のチーム的には中盤のほうがいいのかなと。ただ、両方やれたほうがいいと思う。もちろん拘りは持ってもいいと思うけど、自分一人でシステムを変えられる選手は、なかなか多くないですから。
  • :両方できたらいいよね。問題は、フロンターレは選手層が厚いこと。客観的に見れば違うチームに行けば、間違いなく、出場機会は増えるだろうなって思うんだよね。
  • 中村
    :なに言ってるんですか、原さん(笑)。
  • :いや、正直な気持ちを聞きたいんだよ。
  • 板倉
    :他のチームに行って出られるとも思ってないですし。ただ、練習の時から相手にできる選手が憲剛さんとか(大島)僚太くんとか、代表クラスの選手が多いので、自分のものにできるとことはしたいなという想いは強いです。逆に憲剛さんや僚太くんにないところを、もっと出していければなっていう想いも強く持っています。
  • :ボランチをやりたいとなると、憲剛にとってはポジション争いのライバルにもなるわけでしょ。そこはどう思うの?
  • 中村
    :それは滉だけじゃなくて、みんなが競争相手ですからね。今までそうやって、15年間やり合ってきているわけですし。だから滉がここから伸びてきてくれることはチームにとって嬉しいし、個人的にも嬉しいこと。滉が伸びてきて、自分のポジションを脅かされたら、また俺も頑張ればいいだけですから。

憲剛さんに言われた事を実践しようとすると、まだ難しいこともあるんですけど、言われたことをやるだけ今の場面はこうだったなっていう風に気付けることも多い

  • :板倉は、憲剛や大島が持ってない自分の特長はどこにあると思っているの?
  • 板倉
    :高さで勝負するところだったり、守備のところでは負けたくないという気持ちはあるので、そういうところはどんどん出していきたいなと思います。
  • :憲剛は、板倉にアドバイスとかするの?
  • 中村
    :滉には結構、厳しいことを言ってますよ。言いやすいタイプなんですよ。しっかり聞いてくれるので。それを、実践するかどうかはまた別の話ですけど。
  • :それを自覚するかどうかは、本人次第だからね。
  • 中村
    :言うのは自由だし、受け取るのも自由なので。ただ俺は滉に、しっかりと柱になっていって欲しいし、ポジション的にもボランチなので、教えられることはいっぱいある。だから結構、事細かに言ってますね。
  • :言われて、どう思ってるの?
  • 板倉
    :憲剛さんに言われたら、聞かない耳はないというか、全部聞き入れていますよ。サッカーの話から、メンタルのところも含め、本当にいろいろ話をしてくれています。話を聞くと、確かにそうだなって思えることばかりです。それを実践しようとすると、まだ難しいこともあるんですけど、言われたことをやるだけ今の場面はこうだったなっていう風に気付けることも多いです。分からないことがあれば、僕からも聞くようにはしています。
  • :どういうことを言っているの?
  • 中村
    :やっぱり、ポジショニングですかね。身体の向きや、ボールの置き方とか。練習で彼と対戦相手としてやっている時でも、今、ボールを受けに来られたら嫌だなという場面で、ボケっとしていたり(笑)。ボランチの選手は常にアンテナを張って、味方を助けなきゃいけない。そのためにはどういうポジショニングを取らなければいけないのか。そういうことを俺が、ばーっと言うので、滉も半分は流しているとは思うんですけど、一生懸命聞いてくれるので、ついつい言っちゃうんですよね(笑)。
  • 板倉
    :確かに試合中とか結構言われる時はありますけど、言われていることは分かりますし、実行しないといけないという気持ちでやっています。

緊張するタイプじゃなかったですし、楽しみが勝るタイプ

  • :憲剛はフロンターレで長くやっていて、キャプテンという立場も担った時期もあったけど、プレッシャーを感じたりする時もあったの?
  • 中村
    :プレッシャーと思っていなかったかもしれないですね。当たり前にいろんなものが通り過ぎていった感じで。もともと緊張するタイプじゃなかったですし、楽しみが勝るタイプですからね。
  • :大一番とかでも、感じたことはない?
  • 中村
    :押しつぶされたことは一回もないです。
  • :見た目より、強いんだよな。
  • 中村
    :よくご存じで(笑)。
  • :板倉はアンダーカテゴリーの代表にも入っていたし、若いわりにはいろんな経験を積んできたと思うけど、プレッシャーを感じたことは?
  • 板倉
    :あまりプレッシャーというふうには思わないですね。緊張もあまりしないタイプです。しいて言えば、今年のACLの広州恒大戦で、ブラジル代表のパウリーニョ選手とマッチアップした時に、プレッシャーというか、威圧感を感じましたね。
  • :その試合は見てたよ。結構、やり合ってたよな。楽しくやってたの?
  • 板倉
    :楽しめてはなかったですね、あの試合は。試合前は、パウリーニョ選手とマッチアップできると思って、ここで絶対にやってやろうという気持ちだったんですけど、実際にグラウンドに入ると、すごく大きく見えて……。立ち姿もそうですし、結構離れたところにいても、チラっと目に入っただけで、すごいプレッシャーを感じてしまって。ホーム&アウェイの2試合とも先発で使ってもらったんですけど、どちらも同じ感じで終わってしまって、悔しい想いもありました。自分が交代したあとに、憲剛さんや僚太くんが普通にやっているのを見て、自分はまだまだだなと感じた試合でした。
  • :プレッシャーを乗り越えられなかったということか。プレッシャーを感じない憲剛が何かアドバイスしてあげれば。
  • 中村
    :あの試合の後に話したよね。あの時は、最初にガツンとやられたんですよ。滉が持った時にガツンとやられて、ショートカウンターを食らったんです。その残像があったから、パウリーニョが遠くにいるのに、プレッシャーを感じちゃったって。だけどそれって経験しないと分からないことなんで、お前はすごく良い経験したと思うよ、という話はしたし、それにちゃんと打ち勝つために、日ごろの練習もそうだし、しっかり準備しないとダメだなっていう話をした記憶があります。
  • :やっぱり、日ごろの練習は重要だよな。
  • 板倉
    :本当に練習の中でも、1対1の局面だったり、紅白戦でも勝ちたいと思ってやっています。自分の良さを出さないとポジションは取れなないと思っているので、自分の特長の高さとか、守備のところっていうのは、日々のトレーニングから意識して伸ばしていかないといけないと思っています。


新しいパワーっていうのは、サッカーに限らす、どの職業においても必要なこと。

  • :今年から若手の活躍を讃える「TAG Heuer YOUNG GUNS AWARD」っていう賞が新設されたんだけど、どう思う?
  • 板倉
    :いいですね。
  • :憲剛はもらえないけどね。
  • 中村
    :できるのが、遅いですよ(笑)。もう37歳ですよ。
  • :じゃあ、来年は37歳以上を対象とした賞を考えておくよ。
  • 中村
    :その代の選手は、あまり多くないですから(笑)。
  • :板倉は、こういう賞があったほうがいいと思う?
  • 板倉
    :もちろんです。そういう賞があったら取りたいなと思いますし、同世代には負けたくないという気持ちもあるので、すごくいいと思います。
  • :憲剛から見ても、こういう賞があると、モチベーションは上がると思う?
  • 中村
    :上がるでしょう。何もないところよりも、向かっていけるところがあるのはすごく大事だと思うし、そういうのがあると、周りが見てくれるんですよね。選手って、人の目が育てると思いますから。例えば賞を取った選手は、次からはそういう風に見られるだろうし、そういう意味ではモチベーションや刺激にはなると思いますよね。
  • :注目してもらうことで、より輝けるってこと?
  • 中村
    :一回活躍すれば、それがスタンダードになる。例えば滉が一度活躍すれば、ここまでできる選手という風に見られる。次の試合で、こんなもんかって思われるプレーはしちゃいけないんですよ。常に見る目が厳しくなるので、常に高い水準でやらないといけない。そうすると意識も変わってくるし、プレーも変わってくるし、選手としての覚悟も変わってくる。そういう意味ではこの賞があること自体、若い選手にとってはいいこと。若い選手にしか出せないパワーがあるので、そういうものを引き出してくれるきっかけになるんじゃないかなと思います。
  • :若手にしか出せないパワーって、具体的にどういう部分?
  • 中村
    :後先考えずに、ガンガン行けるじゃないですか。たとえミスしても、俺らみたいな世代がケツを拭いてあげればいいだけですし。彼らには生き生きとやってほしいですね。見ていて微笑ましいじゃないですか。頑張ってるなって。そういうのってすごく大事で、それを見てまた俺らの世代も負けられないぞってなって、活性化していくものだと思うので。
  • :この賞のメインコピーは「革新は、いつだって若い世代から生まれる」っていうんだけど、この言葉はどう思う?
  • 板倉
    :かっこいいですね。自分が先頭切っていけたら嬉しいですし、そうなりたいと思っているので、とにかく頑張りたいです。
  • :そうなるためには、何が必要だと思う?
  • 板倉
    :毎日の練習を無駄にせず、ひとつの時間も無駄にせず、しっかり練習に取り組むことだと思います。
  • :ベテランの立場からすると、この言葉はどう思うの?
  • 中村
    :そうであるべきだと思います。俺らもそうだったんで。新しいパワーっていうのは、サッカーに限らす、どの職業においても必要なこと。それが世の中を活性化すると思うので、いいキャッチコピーだなと思いますよ。
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