8月30日（日）J2 第36節 草津 vs 札幌（18:00KICK OFF/正田スタ）
スカパー！生中継 Ch182 17:50〜（解説：佐藤正美、実況：梨子田友和、リポーター：円戸由香）
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　第2クールの最終戦となった前々節のホーム戦で昇格候補の湘南を撃破したときは、これで勢いに乗れると思ったが、そんな淡い期待は前節のアウェイ愛媛戦でもろくも砕け散った。ミスから招いた立ち上がりの失点、相手の守備ブロックを崩せない攻撃…今季、何度も目にした光景がまたしても繰り返された。今季のチームは、鳴かず飛ばずの状態のままシーズンを終えてしまうのか。札幌を迎える第3クール最初のホーム戦は、その答えを確かめるためのゲームとなる。

　第1クール、チームが不安定な戦いを演じていたときに、チーム内からは「まだ第1クールだから」「いまはチームを作っている時期だ」という声が聞こえてきた。そしてチームとしての課題がなかなか解消されずにシーズンは、すでにJ1の1シーズンに相当する試合数に到達しつつある。草津は06年からポゼッションサッカーに切り替えて土台を築き、過去3シーズンは毎年順位を上げていった。今季もその延長上にチームがあると思っていたが、そうではなかったのだろうか。いずれにしても、結果が求められる時期に差し掛かっていることは間違いない。「結果を残しながら成長していく」のがプロの世界だ。

　ただ、置かれている状況を理解している選手がチーム内にいることは救いだ。前節、守備陣をまとめきれなかった喜多靖は、最終ラインの綻びを認めた上でこう話した。「本当に情けないし、サポーターにも申し訳ない。湘南戦であれだけの戦いができたのに、愛媛戦では全体が動けていなかった。このチームは全員が動かなかったら戦えない。あの戦いでは『やっぱりダメか』って思われても仕方がない。札幌戦は出直しのゲームだ」。悔しさが選手の中に残っているうちは、チームはまだまだ戦えるはずだ。最終クールは草津の誇りにかけても意地をみせてほしい。

　草津が最近10試合で奪ったゴールは9。内訳は都倉賢4点、松下裕樹2点、小池純輝1点、山崎渡1点、そしてオウンゴール1点となっている。状況別ではセットプレーを起点としたゴールが5点、ロングボールを活かしたカウンターから2点、ワンツーから1点、オウンゴールが1点。草津の指揮官は、攻撃的なサッカーを標榜しているが、実際に点が入っているのはセットプレーとカウンターが大半を占める。草津は過去10戦、それがハマった2試合（28節札幌、34節湘南）だけ勝利を収めることに成功している。以前、植木繁晴ＧＭは「ポゼッションの看板を出しているがカウンター型のチームだ」と今季のチームを表現していたが、この強みを最大限に生かせるかがポイントになる。先制されると勝利がない草津は、リーグ最多失点を記録する15分までの時間帯を耐えて、逆に先制点を奪い取りたいところだ。

　対する札幌だが、第28節で草津に敗れて以来、チームは復活の兆しを見せている。草津戦以降の7試合で4勝2分1敗。今は草津に勝点9差をつけて9位につけている。チームに刺激を加えたのは柏から加入し29節からフル出場している石川直樹と、高校生ながらトップ登録されたU-18日本代表の古田寛幸。石川は左サイドバックで起用され守備に安定をもたらしている。そして古田は右ＭＦでレギュラーをつかみチームに欠かせない存在へと急成長を遂げている。さらに前節では期待の新外国籍選手ハファエルが初ゴール、チーム戦力は充実してきた。札幌としては前回対戦で煮え湯を飲まされた草津を叩いて、再び白星街道を走りたいはずだ。

　今季の今カードは1勝1敗の五分。草津は、過去2戦で3ゴールを奪われたがキリノ2点、ダニルソン1点とすべて外国籍選手に得点を奪われている。今節の草津は中盤の要・松下が警告累積で出場停止。中盤の守備に不安が残るだけに警戒が必要だ。草津・田中淳は「札幌は外国人が強烈なのでリズムをつかませないようにしたい。松さん（松下）は中盤でガツガツいける人なので、その分を全体でカバーしなければいけない」と話す。

　今ゲームが行われる8月30日は、国民が国の未来への一票を投じる総選挙と重なっている。投票後にスタジアムへやってくるサポーターも多いはずだ。草津サポーターには、草津の選手たちが来季もクラブのエンブレムを胸につけて闘う資格があるかを見極めてほしい。今季掲げたスローガンやコンセプトが実行されているかを、その目で確認してほしい。サポーターがチームへ投じる「一票」がクラブの発展につながっていくはずだ。

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2009.08.28 Reported by 伊藤寿学