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コラム

百年構想のある風景

2015/1/12 10:00

ホームタウンの単位

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人口2万人に満たない小さな自治体が全体の95%を占めるドイツには、日本と異なり人口の多寡に応じた“市町村”という格付はない。すべて「Gemeinde」と称し、自立した生活共同体として同列に扱われる。欧州では、規模に関係なく、暮らすまちへの強い帰属意識は、地元の“文化”―スポーツクラブ・オーケストラ・食・学校―を通して培われてきた。フランスワインには原産地呼称統制法という食文化がある。銘柄名は「村名」もしくは「村名+畑名」、ボルドーではシャトー名が加わる。ドイツやイタリアでも然りである。

日本の飲み物のメニューをみてみよう。たとえば焼酎は、「鹿児島の芋」「大分の麦」、日本酒は「高知の○○」「秋田の○○」「新潟の○○」と表示され、産地名はすべてが“県”単位止まり。その土地でとれた芋、米、麦や芳醇な水を経営資源とする蔵元の本拠地は、同じ県の中でも各市町村に点在している。どこも貴重な“地場産業”として、地元住民のプライドである。県という大きな行政単位でひとくくりにするよりも、地元の誇りと同時に外部からの評価が高まる、地域がブランドになる工夫が大切となる。では、どうすれば? Jリーグ流にいうと、鹿児島県の芋焼酎なら、大崎○○、吹上○○、錦江○○、大分県の麦なら、日出○○、緒方○○、高知県の日本酒なら佐川○○、安田○○、秋田県なら、湯沢○○、横手○○という具合に素直に「本拠地名+銘柄」となればいい。メニューをみて、「幻の焼酎、垂水○○をロックで!」「国東○○を熱燗で!」という注文が飛び交う。「アイラ島の○○」「スペイサイドの○○」とスコットランドのウィスキーを口にするように。それまで無名の土地も、大間のまぐろや馬路のゆずなど先行するところもある。 広域より先に身近なまちに価値を見出す考え方へ、日本人が変わり始めた一例に、3年前に登場した19のご当地ナンバーがある。

これまでの県名表示の殻を破り、生活共同体単位のより小さな地名を選んだのは、宮城→仙台、福島→会津、群馬→高崎、山梨→富士山、石川→金沢、三重→鈴鹿、岡山→倉敷、山口→下関。他の11ヶ所は、さらに地名の細分化の道に進んだ。全国にはまだ、富山・愛媛・徳島など1県1ナンバーが20も残る。 申請手続きの第一関門が、署名やアンケートなどで過半を超える住民の意志表示だったことは、自分たちが「県民」である前に、それぞれのまちの「市民」なんだという強い帰属意識の芽生えを意味している。これは“Jクラブがあるまち”においても変わりない。 サガン鳥栖のホームタウンの人口は、僅か?6万7千人。先日、市庁舎に『Jリーグのある街鳥栖市、がんばれ!!サガン鳥栖』の大横断幕が登場した。「自分たちの住むまちにはJクラブがある」ことに大きな喜びを分かつ。以前、大分市役所でも見たことがある。