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第17節 6.1(土) 15:00KO 国立競技場 鹿島vs横浜FM 国立競技場に10,000名様無料ご招待
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コラム

百年構想のある風景

2015/1/12 10:00

社交スタジアム

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スポーツがもつ文化性の一つに、『社交』がある。「欧州の政治や経済の世界では、重要 なことがスポーツの“場”で決まるんです」と、EU(欧州連合)本部に勤める英国人から聞いたことがある。“場”とは、スタジアム内にある“ラウンジ”のこと。 ラウンジの共通した時間や共有できる空間の中で、自然に“パーティ”が生まれ、「社交場」に変わる。パーティとは同じ目的意識をもった人々の集まりのこと、ここではクラブの存在が社交の求心力となる。クラブを思う自治体や政財界に関係する人々が夫婦単位で招かれる場面に、地域におけるスポーツの社会的な存在意義の高さを再認識させられる。 社交場での行動規範は、人に人を『紹介する』、分かち合いを広げることから始まる。観光のまちハイデルベルク(人口14万人)は、いまバイオ産業の集積が最も進んだ都市でもある。

1997年にわずか30社だった関連企業が、3年後には72社と急増した。 市当局が自ら設営する非公式な“対話の場”の存在が、その背景にあった。新たな進出企業の経営者を招いては、既存経営者と随時“新人歓迎会”を開催する。既存企業の経営者たちは、個人的な面識を生かし「○○さんを知っているから紹介しましょう」となる。ここに来れば、簡単にすぐ地域の○○さんと知り合いになれる。 スポーツ界の挨拶は、『握手』が基本。<手をとり合う><手を握る>という表現があるように、人間関係の絆を表すサインである。知らぬ者に体の一部を触れられることを嫌う西洋人にとって、触れあって互いの心を許し合う・開くことを意味する握手は、礼儀作法上では目上の者や女性から差し出すものと決まっている。

昨年訪れたイングランドのシェフィールド・ユナイテッドのラウンジでは、試合開始2時間も前から、招待客が食事をとりながら、方々で『紹介』と『握手』を繰り返していた。 ラウンジ内の服装の基準は、「ドレスコード」に示される。通常は男性の服で表現され、女性はそれに合わせる。子供たちもこうした場を踏み大人社会を自覚していく。プレストン・ノースエンド(イングランド)のラウンジの壁に記されたドレスコードの一例。 『この部屋では、いつもスマートな服装が求められます。 紳士は、上着とネクタイを着用、ジーンズやトレーナーは厳禁です。 お子様にも守っていただきますよう謹んでお願いします。 Thank you』。 試合終了後も、社交タイムは終わらない。舞台をティーラウンジに移し、クラブの未来や地域の将来像が熱く語られる。スタジアムは、社交する人間が集う場でもある。