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第18節 6.16(日) 14:00KO 国立競技場 神戸vs川崎F 国立競技場に小中学生合計10,000名様を無料ご招待
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コラム

百年構想のある風景

2015/1/30 10:00

根を張るとき

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54年前に登場した高さ333mの東京タワーの基礎杭の深さは、23m。これに対して、このほど完成した高さ634mの東京スカイツリーは、地中50mの深さまで伸びた「壁杭」という根で支えられており、軟弱な地盤にも強いのが特徴である。 根は、単に太いだけでは大根のように簡単に抜けてしまう。地震に強い竹林では、四方八方に根がひろがり固い地盤を造り上げる。ワインの原料となるブドウの樹は、水分を求めて地下深くまで根を伸ばし、風の強い急斜面でもかぼそい枝がビクともしない。こうした地上には見えない根の張り様で、木は林に、林は森に変わっていく。 2000年のEURO本大会の予選リーグで敗退したドイツは、全国にある約2万5千のクラブや21ある地域協会に対し、若手の育成に力を入れ裾野を強化するシステムづくりに取り組んだ。

数年前には、ブンデスリーガの下に3部リーグの創設を行うなど、クラブライセンス制度を軸に、リーグのピラミッド構造の根元を強固なものにした。今日のドイツ代表や各クラブの活躍、さらにはブンデスリーガの持続的な隆盛は、当時の舵取りが間違っていなかったことを証明している。 20年目のJリーグは、40本の枝に大小彩彩の実をつける大樹に成長した。この間、クラブは地域に根ざす努力を絶えず続けている。これから先、その頂を高めていくためには、リーグに対して新鮮な養分を送り続けるしっかりした土台(Jの根)づくりが急がれる。 根元には、JFL(日本フットボールリーグ)とその下の全国9ブロックに分かれた地域リーグがあり、ここに約100のクラブが属している。スタジアムの課題はJ昇格時のクラブライセンス制度に委ねるとして、ドイツのように、これらのクラブが、特定の市町村に本拠地(ホームタウン)を定め、若手の育成システムを備えたクラブ運営で、身の丈の健全な経営をするクラブになること。

それが、本来求められる準加盟クラブの姿ではないだろうか。今日のJ2とJFLとの入れ替えを見据えていたからこそ、2006年にスタートした『準加盟クラブ制度』は、クラブの対象を都道府県リーグにまで広げている。 欧州では、ボトムアップ工法で長い歳月をかけて安定したリーグピラミッドがつくられてきた。一方の日本は、まず宙づりの状態でJリーグをこしらえ、その下に土台を築いてピラミッドを形成する特殊な工法になっている。「豊かなスポーツ文化の振興」という理念の下に、日本サッカー協会もJリーグも同志である。クラブが地域に根を下ろすように、今度はJリーグの根をしっかりと張る時機(とき)が来た。