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第18節 6.16(日) 14:00KO 国立競技場 神戸vs川崎F 国立競技場に小中学生合計10,000名様を無料ご招待
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コラム

百年構想のある風景

2015/1/30 10:00

スタンディング・オベーション

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欧州でプレーする日本人選手から、こんな話を聞いたことがある。「ここでは、観客もスタジアムの一部です。」なるほど、世界のトップリーグのスタジアムは、選手と観客とが一体となった劇場空間が演出されている。その雰囲気が最高潮に達したとき、スタンディング・オベーション(Standing Ovation)が巻き起こる。 スタンディング・オベーションとは、感動した観客が満場総立ちで盛大な拍手喝采をおくる最大級の賛辞のこと。1743年のロンドンで、ヘンデルのオラトリオ「メサイア」が演奏された際、国王ジョージ2世がハレルヤコーラスを聴いた後に突然立ちあがって拍手し、周りもつられたことが起こりだとか。こうしたシーンは、今日ではさまざまなスポーツやコンサートでみられる。

Jリーグ開幕の前年、バルセロナ・オリンピックでの出来事である。陸上競技男子400m走の準決勝、優勝候補のデレク・レドモンド選手(英国)が、レース序盤に肉離れを起こしとても走れる状態ではない中を、足を引きずりながらゴールにたどりついた姿に、場内6万5千の"観衆"がスタンディング・オベーションで称えた映像は未だ記憶に新しい。 昨年のマスターズゴルフ最終日のオーガスタ・ゴルフクラブ(米国)、18番ホールのグリーン周りに集まった"パトロン"たちが、通算1アンダー27位タイで見事にロー・アマチュアを決めた松山英樹選手をスタンディング・オベーションで出迎えた。

スポーツには、国境のない自由と美しさがある。そう感じたのは、筆者だけではなかっただろう。 今年3月、ブンデスリーガのBVBドルトムント対1.FSVマインツ05の試合で、決勝点を決め後半34分にダ・シルバと交代しベンチにもどる香川真司選手が、8万満員のホーム"サポーター"からスタンディング・オベーションで迎えられた光景は、日本人として誇らしかった。 スタンディング・オベーションには、敵も味方もない。あくまでフェアに徹し、最後まで戦い抜くひたむきなプレーを目の当たりにすれば、みな自ずと立ち上がり、スタジアム全体が感動の渦につつまれる。そのとき、観客はスタジアムの一部になる。20年目を迎えたJリーグが目指すは、こうした「感じるスタジアム」ではないだろうか。その舞台が、サッカー専用スタジアムであることは言うまでもない。