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AFC CHAMPIONS LEAGUE (ACL)2020ラウンド16
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コラム

北條 聡の一字休戦

2015/4/14 12:10

昇格駅へ一直線!? 快速ジェフの『電車道』(♯7)

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次は昇格、昇格です。お急ぎの方は1、2(位)番線へお回りください――。

今季こそ、うまく「乗れそう」な気配が……。ジェフ千葉のことです。第7節を終えた時点でJ2の「先頭」を走っております。5勝2分け。依然、負けなし。得失点差も2位のジュビロ磐田、4位のツエーゲン金沢と同じ8ポイントを稼ぐなど順調そのものですね。J2は長丁場のリーグ戦。まだ全体の6分の1を消化したに過ぎませんが、期待はふくらむばかりでしょうか。

J1昇格に向け、J2首位を快走するジェフ千葉。
J1昇格に向け、J2首位を快走するジェフ千葉。

お客様(ボール)を、より多く、より速く、より安全に目的地(ゴール)へお届けします――。
関塚隆監督の率いる千葉のイメージは、こんな感じでしょうか。立ち合いから一度も止まることなく、一直線に相手を土俵の外へ押し出す、寄り切る『電車道』という相撲用語を連想させるスタイルです。曲がったことは大嫌い。いや、急には曲がれないってことでしょうか、レールと同じで。前進、また前進、とにかく前進――。今季は遅延の類も少ない上に、移動中の別路線(味方)への乗り継ぎ(パス)もスムーズですから、お客様をムダに待たせることもいたしません。

今季、際立つのは新たに開通し、ボールというお客様を次々と乗せていく『パウリーニョ線』でしょうか。左腕の赤い(キャプテン)マークが目印です。停車駅(ボールを持つ相手選手)へすべり込む際は「危ないですから、白線の内側までお下がりください!」というアナウンスが聞こえてきそうな……。いや、それくらいのド迫力ですね。昨季は川崎フロンターレで「運休」に近い状態でくすぶっていましたが、今季はまさに水を得た魚、いや、レールを得た列車(?)でしょうか。

まるでピンボールのようにボールが行き交う川崎Fの幾何学的なスタイルは、男は黙って猪突猛進みたいなパウリーニョの個性とは噛み合わせが悪かったということですね、J1かJ2かというカテゴリーの問題よりも。捨てる神あれば、拾う神あり――でしょうか。期待と信頼の証としてキャプテンマークを与えた指揮官と、それを意気に感じて粉骨砕身の働きを演じるパウリーニョ。実のところは分かりませんが、少なくともピッチ上からは、そんな理想的な関係が読み取れそうです。

大宮戦のパウリーニョ選手のプレーぶりはまさに列車そのもの。
大宮戦のパウリーニョ選手のプレーぶりはまさに列車そのもの。

先週末、本拠地フクアリ(フクダ電子アリーナ)で大宮アルディージャを破った一戦でも輝いていましたね、パウリーニョが。お客様(ボール)が最も集まる『カルリーニョス駅』(大宮の司令塔)へと一直線――。勢い余って「接触事故」を起こし、後半はややダイヤが乱れたものの、複雑な路線図のド真ん中で圧倒的な存在感を見せつけていました。ほかの路線(周囲の味方)も足並みをそろえるように運行(プレッシング)しているおかげで、各駅(大宮の選手たち)に集まるお客様を逃しません。多くの時間、大宮の(攻撃)回線は「不通」もしくは「混線」の状態に陥っておりました。

お客様を拾ってからの運転(攻撃)も実に効率的でした。快速、急行、特急の各列車(味方選手)が乗り継ぎに備えています。途中の駅をすっ飛ばして、先へ急ぐわけですね。この「追い越し」こそ、千葉が守っていくべき『路線』でしょうか。言わば、ラグビーみたいな攻撃ですね。後ろから大胆に追い越す味方へ球をつないでいくような。相手は「いつ、どこで、誰が、どのように」飛び出してくるかが分からず、パニックに陥るというわけです。

イビチャ・オシム監督時代に花開いた冒険的なスタイルの象徴ですね。追い越すには勇気が必要です。後ろの人数が減る分、途中で球を失った時のリスクが大きくなりますからね。仲間への信頼がなければ、おいそれとはできません。この心理的な枷(かせ)を外すことで、走力や運動量が生きてくるわけです。追い越す味方がいれば、前方にパスの選択肢が増え、相手も戸惑う分、球を失うリスクが減るんじゃないか――そんな具合に発想を転換できるかどうか。思えば、ズデンコ・ベルデニック監督時代から「追い越す味方以外へのパスを禁ずる」というルールで、よく練習していました。

選手の「追い越し」「飛び出し」が井出遥也選手の2得点を生んだ。
選手の「追い越し」「飛び出し」が井出遥也選手の2得点を生んだ。

先の大宮戦、この「追い越し」「飛び出し」がゴールへの伏線になっておりました。井出遥也選手の先制点の場面、3列目からエリア内へと侵入した佐藤勇人選手の飛び出しが大宮の守備陣をカオスへと巻き込み、2点目の場面では猛然と追い越しを狙う中村大亮選手の動きが相手の守備陣をフリーズさせ、井出選手がシュートを狙う一瞬の間(ま)をつくりだしました。こうしたプレーがさらに増えてくれば、千葉の勢いは「もう、どうにも止まらない」かもしれませんね。

乗り継ぎ駅で、あとからやって来る「快速」「急行」「特急」へ―――。ほんの一瞬だけ仲間が重なる瞬間と、そこから生じるダイナミズムの行く先こそ、昇格という終着駅のような……そんな妄想がどんどんふくらむ今日この頃――。ともかく、J2線はこの先、大変な混雑が予想されます。『ジェフ経由昇格行き』ご利用のお客様は、お早めにお乗りください!