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コラム

青山 知雄の悠々J適

2015/8/7 17:41

武漢での濃密な日々が選手を、そしてJを変える!(♯20)

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ただいまEAFF東アジアカップ2015の取材で中国・武漢に滞在している。

今回はJリーグでプレーする選手だけで編成されたチームということもあり、普段Jリーグで見せているパフォーマンスを国際舞台で披露できるかに注目していた。残念ながら2試合を終えた時点で優勝の可能性がなくなったが、個人的には世間で言われているほど悲観的な見方はしていない。むしろ今後が楽しみで仕方がないのだ。

ヴァイッド ハリルホジッチ監督が大会前から話していたとおり、過密日程に伴う準備不足で代表チームとして十分なトレーニングを積めなかったのは事実。結果が残せなかったことに関しては反省と検証が必要だが、そこは今後への改善点として別に考えればいい。一番のポイントは招集された選手たちが指揮官の熱い言葉を受け、これからどんな取り組みを見せてくれるかだ。

代表定着以降シュートへの意識がさらに高まった宇佐美は、現在得点ランクのトップに立つ。
代表定着以降シュートへの意識がさらに高まった宇佐美は、現在得点ランクのトップに立つ。

3月から日本代表を率いるハリルホジッチ監督は、兼ねてから世界で戦うためのプレーを選手たちに求めてきた。必要に応じて個別にコミュニケーションを取り、意識改革を促してきた経緯もある。槙野 智章(浦和レッズ)や宇佐美 貴史(ガンバ大阪)が大きく変貌を遂げ、一気にJリーグを代表するプレーヤーへと成長していったのは記憶に新しいところだ。

ハリルホジッチ監督に抜てきされた宇佐美はシュートへの積極性がさらに高まったことでゴールを量産。指揮官が指摘した体脂肪率の低下(これには賛否両論あるが)にも取り組み、現在、明治安田生命J1リーグの得点ランキングトップに立っている。また、監督就任から5試合連続で先発出場している槙野は、相手FWをゴールに近づけさせず、前を向かせず、危険なエリアにも入れさせないように心掛け、以前よりもタイトなマークを見せるようになったことで浦和の守備安定に貢献。1stステージ無敗優勝の立役者の一人となった。

実は以前、浦和でキャプテンマークを巻く阿部 勇樹がこっそり明かしてくれたことがある。

「槙野や(西川)周作が代表で得たものをフィードバックしてくれる。それでチーム全体が成長できている」

代表での経験を浦和にフィードバックし、1stステージ優勝に貢献した槙野。
代表での経験を浦和にフィードバックし、1stステージ優勝に貢献した槙野。

日本代表で世界と戦うために必要なものを感じた槙野や西川が、チームに戻ってハリルホジッチ監督の言葉を伝播させていたというのだ。実際、日本サッカー協会の霜田 正浩技術委員長も「浦和のサッカーは1stステージ途中から大きく変わった」と話しており、ハリルホジッチ監督が守備陣に求めるものや意識が、浦和の戦い方に追い風を吹かせていたという見方もできる。

武漢では十分なトレーニングができなかった日本代表だが、その一方で世界で戦うためのフィジカルや球際の強さ、スタミナなどについて、選手たちに厳しく求めたという。ハリルホジッチ監督の薫陶を受けた選手たちが所属クラブに戻り、チームメートから「代表、どうだった?」と聞かれた際に答える内容、そしてその後の取り組みが彼らの、そして所属クラブの今後を大きく変えるかもしれない。

準備不足とコンディション調整に苦しんで大会では結果が残せなかったが、代表選手たちがチームに戻って、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか。さらにチーム全体に変化が起こるかどうかに注目しておいて損はないだろう。すぐに変化が見られる選手やチームもあれば、少し時間を要することがあるかもしれない。それもまた、継続して見ていく面白さにつながるとも思う。

今回の東アジアカップは厳しい戦いとなっているが、ハリルホジッチ監督の意識改革が選手、ひいてはJリーグを変えるかもしれない。
今回の東アジアカップは厳しい戦いとなっているが、ハリルホジッチ監督の意識改革が選手、ひいてはJリーグを変えるかもしれない。

日本代表からJリーグへ、そしてJリーグから日本代表へ。そのスパイラルが健全なものになったとき、日本サッカー全体が大きくレベルアップしていることと思う。日本代表が強くなっていくためには、Jリーグ全体とJリーグでプレーする選手のレベルアップが必要不可欠。改めてそう感じさせられた。

8月12日に再開する明治安田生命J1リーグ。再びJの舞台に戻ってくる日の丸戦士たちの奮闘を見逃す手はない。帰国後に彼らが見せるであろうパフォーマンスと意識の変化を心から楽しみにしている。