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2019 明治安田生命Jリーグ終盤戦特集
2019 明治安田生命Jリーグ終盤戦特集

コラム

青山 知雄の悠々J適

2015/8/24 12:00

トロフィーツアーだけで満足できるわけがない! 柏が史上最大のリベンジマッチに挑む(♯22)

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いよいよリベンジの舞台が近づいてきた。

20日に前倒して開催された明治安田生命J1リーグ 2ndステージ 第8節で、松本山雅FCを破った柏レイソル。3試合連続となる完封勝利を飾り、試合終了時点では暫定ながらリーグ戦首位に躍り出ていた。

今回の松本戦が変則開催になった理由は、25日に行われるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝 第1戦に万全を期すためだ。柏は今シーズン、ACL参戦を考慮し、前週のリーグ戦をミッドウィークに消化し、コンディションを整えてアジアの頂点を目指してきた。今回も同様の狙いで他クラブと異なる開催日にリーグ戦を行い、満を持して広州恒大(中国)との大一番に臨むことになった。

キャプテンの大谷 秀和は、準々決勝の対戦相手が決まった際に「リベンジが楽しみです」と語っていた。そう、柏にとっては2年前の悔しさを晴らす絶好の機会となるのだ。

2年前の対戦では2戦合計1-8の大敗を喫した
2年前の対戦では2戦合計1-8の大敗を喫した

2013シーズンのACLでベスト4進出を果たした柏は、準決勝で広州恒大と対戦。ホームで行われた第1戦は立ち上がりに先制点を奪いながら終盤に度重なる失点を喫して1-4と逆転負け。大量得点が求められたアウェイでの第2戦は前掛かった裏のスペースを強烈な外国籍選手にカウンターで切り裂かれて再び4失点。2戦合計1-8で大敗し、決勝の舞台に立つことができなかった。

今回の対戦を控えた大谷は「1stレグ、2ndレグの2試合で試合が決まるけど、前回は初戦でアウェイゴールを多く取られて負けている。合計180分を見据えた戦いをできればとは思いながら、第1戦がものすごく大事になる。第2戦であの雰囲気のアウェイに乗り込むためにも、まず初戦でいい結果を出したい」と語っている。また、工藤 壮人も「アウェイで難しい試合になるのは分かっているので、ホームでどれだけ点差をつけられるか。初戦に勝つことは当然で、気持ちでも内容でも圧倒してインパクトを与えて勝ちたい」とコメントしていた。彼らの脳裏に当時の記憶は強く残っており、それゆえに初戦の90分間が持つ重要性も十分に理解している。

特に大谷が今回の試合に対して抱く思いはより強いはずだ。彼は一昨年の準決勝第1戦を出場停止で欠場し、第2戦の直前に行われたリーグ戦で右太もも肉離れを発症。全治約3週間と診断され、大一番を2試合ともスタンドから見守ることになってしまった。本人は「前回は2試合とも出られず、見ているほうが苦しいというか、チームの力になれないもどかしさがあった」と振り返る。個人的に思うところがあるのだろう。今回の対戦を前に「(僕が)秘密兵器です。前回は秘密兵器のまま終わりましたけど」と笑いを誘いながら、「広州を倒さないと上には行けないし、準決勝で敗れた2013年のリベンジの場にしなければいけない」と強い決意を口にしている。

2011年のクラブワールドカップで経験した世界とのしびれる戦い、そして再びその舞台に立つことを目指しながら、あと一歩のところで広州恒大に敗れた悔しさ。選手として、チームとして成長を誓い、強敵へのリベンジを胸に秘めながら戦ってきた。その機会がついに巡ってきたのだ。

前回の対戦で出場していないキャプテンの大谷は「もどかしさがあった」と振り返る
前回の対戦で出場していないキャプテンの大谷は「もどかしさがあった」と振り返る

もちろん手応えはある。

今シーズンから新たに就任した吉田 達磨監督の下、チームはボールを保持しながら戦うサッカーを確立してきた。さらに自分たちのスタイルに固執せず、ピッチ内の状況や相手の勢いに対して臨機応変さを出せるようにもなっている。多くの選手が複数のポジションや役割をこなし、どこからでも点を取れるようになったことは一昨年との大きな違いだ。

松本戦後、前回対戦時からの進化と変化を聞かれた工藤は、「しっかりとボールを落ち着かせる場面、攻撃に行くところと行かないところの判断もできていますし、ボールに寄せるかどうかもそう。相手の勢いに飲まれることなく自分たちのペースで試合を進められる力はついてきているんじゃないかと思います。2試合180分を視野に入れて、どう試合を運ばなければいけないのかをピッチ内で判断できる力はついてきている。試合が始まってみなければ分からないですけど、そういう部分も楽しみではあります」と、ようやく迎える決戦に向けて充実の表情を見せていた。

もちろん熱くなるだけでは勝てない。気持ちを前面に出しすぎて空回りすれば、前回対戦の二の舞になりかねない。2年前の経験を胸に刻む工藤は「勝ちたい、ゴールを取りたいという気持ちをどれだけ出せるかだけでなく、どう抑えられるかも重要になってくる。熱く、冷静に戦うところも意識していければ」とも話している。試合が近づくごとに「選手一人ひとりだけじゃなく、チーム全体の盛り上がりが最高潮に達すると思う」とも口にした背番号9は、沸騰しそうな気持ちを押さえ込みながらアジアの頂点を見据えているようだった。

ACLのトロフィーは試合当日も会場に展示される
ACLのトロフィーは試合当日も会場に展示される

実は今、柏にACLの優勝トロフィーがある。『ACLトロフィーツアー』としてアジア各国を回り、柏へとたどり着いたのだ。日立台では前節の松本戦に続き、25日の広州恒大戦でも展示されることになっている。そして栄光のトロフィーは、この試合を最後に再び旅に出る。今シーズン、柏サポーターがもう一度目にすることがあるとすれば、ホームで開催される予定の決勝第2戦となる。もちろんトロフィーツアーだけで満足できるわけはないが、当日スタジアムへ足を運ばれる方は、ぜひ試合前にトロフィーを目にしてもらい、広州恒大との大一番だけでなく、アジア制覇に向けたモチベーションを高めてもらいたいところだ。

松本戦後、サポーターは場内を回る選手たちに対してACLを意識した歌とコールを続けていた。工藤の言うとおり、試合が近づくにつれてサポーターを含めたチーム全体のボルテージが振り切れんばかりになるだろう。すでにチケットは完売だ。クラブに関わるすべての人の思い、そして日本を代表するチームとしての誇りを胸に、柏レイソルが総力を挙げて、史上最大のリベンジマッチに挑む。