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2021JリーグYBCルヴァンカップグループステージ第3節
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福島vs岩手 開催中止のお知らせ【明治安田J3 第6節】

コラム

川端 暁彦の千態万状Jリーグ

2016/7/6 13:12

夏を制す者がJを制す。「移籍」と「五輪」の波を乗り越えるのは?(♯40)

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7月2日、明治安田生命J1リーグ 2ndステージ開幕戦。1stステージ王者・鹿島は、本拠地県立カシマサッカースタジアムにG大阪を迎えていた。ここまで低迷を余儀なくされていた西日本の雄に対して王者らしさを見せることが期待されたのだが、結果は1-3の黒星。G大阪・長谷川 健太監督が「優勝の疲れがあったのかな」といぶかしんでいたように、攻守両面で迫力を欠いた試合内容だった。

妙な言い方に聞こえるかもしれないが、期待値を下回った鹿島の低パフォーマンスの原因が「優勝の疲れ」ならば、実のところ問題はない。時間が解決するからだ。かつての2ステージ制ならば、1stステージを制した王者が「ゆるむ」ことは大いにあり得たというか、しばしば起こることだった。ただ、現行のチャンピオンシップ方式はステージ王者の優位性が小さく、年間順位が重要になってくる。日本一を狙うチームが心理的に弛緩することは考えづらい。

抜群の推進力で鹿島の1stステージ優勝に貢献したカイオ。しかし5日にUAEへの移籍が発表された
抜群の推進力で鹿島の1stステージ優勝に貢献したカイオ。しかし5日にUAEへの移籍が発表された

5日になって正式発表されたMFカイオのアル・アイン(UAE)移籍。1stステージの17試合中16試合に出場し、抜群の推進力を生かして相手DFを威圧していた「個」が抜けた影響が出ていたとすると、簡単な事態ではない。この日は日本代表FW金崎 夢生も負傷欠場していたこともあるだろう。G大阪のDF藤春 廣輝も「カイオと金崎がいないのは大きかった。1stでやったときと違う相手と対戦しているような感じだった。ボールを持ったときも、もっと迫力を持ってプレッシャーに来るかなと思っていたけれど、まるで違った」と率直に振り返っている。できてしまった穴は仕方ないが、埋められるかはチームの地力の問題。既存選手の奮起か、新助っ人獲得か。どちらもないのであれば、チーム力の沈降は避けられない。

Jリーグがシーズンの半ばにある7月は、欧州や中東においてはシーズンオフ。いわゆるストーブリーグの季節である(夏だけど)。選手獲得に予算を傾注するタイミングであり、今回のカイオ移籍のようなことが起こりやすい。他にも広島のFW浅野 拓磨が英国の名門アーセナルへ移ることが決まったが、鹿島の対戦相手であったG大阪もまた、日本代表FW宇佐美 貴史がドイツのアウクスブルクに移籍しての2ndステージ開幕だった。

攻守両面での献身性で宇佐美の穴を感じさせなかった大森(G大阪)
攻守両面での献身性で宇佐美の穴を感じさせなかった大森(G大阪)

主軸選手が抜けたときの打開策は新戦力補強か残された選手でのやりくりの二つしかないが、この試合でG大阪が見せたのは後者の可能性だった。キーワードは「両サイドのハードワーク」(藤春)。傑出した個としての攻撃面の「質」を持つ宇佐美だが、「量」で貢献するタイプではない。代わって左MFに入った大森 晃太郎は攻守両面での献身性という「量」によって宇佐美の穴を感じさせなかった。先制ゴールを含めた働きぶりは「(宇佐美)貴史が抜けて攻撃が停滞したと言われたくないという強い気持ちが出ていた」と長谷川監督も納得させるもので、2ndステージで盛り返していくための型が見えるゲームとなった。

2ndステージ開幕に前後して、不本意な戦績に終わったチームが補強策で巻き返しを図るのもJリーグではお馴染みの流れだ。神戸がMFニウトンを、湘南がFWウェズレーを補強し、甲府は元柏FWドゥドゥの獲得に成功した。また国内移籍でも、福岡がMF三門 雄大を横浜FMから、元日本代表DF駒野 友一をFC東京からそれぞれ獲得し、鳥栖が元日本代表DF青木 剛を鹿島より獲得するなど浮上のための投資に動いている。そして名古屋もFC東京から元韓国代表MFハ デソン、C大阪からMF扇原 貴宏を引き抜いて、低迷脱出を図ってきた。

浅野の海外移籍に塩谷の五輪代表選出と、広島は「移籍」と「五輪」の波を乗り越えられるか
浅野の海外移籍に塩谷の五輪代表選出と、広島は「移籍」と「五輪」の波を乗り越えられるか

この時期に海外流出と戦力補強で各チームの戦力が大きく動くのはある意味で例年どおり。ただ、今年はもう一つ「五輪」という要素がここからリーグ戦の行方に影響を与えることになりそうだ。代表選出は大きな名誉であり、クラブの人気面に寄与する可能性も高いが、一方で五輪期間中も行われるリーグ戦で選手を出したチームの戦力が低下するのは否めない。1stステージで上位に入った鹿島、川崎F、浦和、広島はいずれも五輪代表に主軸選手を送り込んでおり、その穴を埋められるかどうかは一つの見どころ。この夏は、強化部門を含めた各クラブの「地力」が問われることになる。