いわきは長崎がルヴァンカッププレーオフラウンドに進出した影響で日程が変動し、第19節の開催が後ろ倒しになった結果、休養十分で秋田戦に臨める。一方の秋田は6月8日に行われたJ2第19節・熊本戦から中3日となるが、本拠地で戦えるという地の利がある。
リーグ序盤戦から好調を維持していたいわきは、第11節以降は1ケタ順位に定着し、J1昇格プレーオフ圏内を常に狙える位置にいる。その好調ぶりは得失点差に表れている。リーグで5番目の数字、『+11』を記録しており、攻守がかみ合っていることがうかがえる。
いわきの印象について、秋田の諸岡 裕人が「パスをつなぎながら、どんどん縦にボールを入れてくる。縦パスが多いチーム」と話すように、ボールの動きに呼応して、ピッチの至るところから選手が前線に湧き出てゴールを狙う。この躍動感がいわきの強みだ。
そのチームの注目選手は、リーグ2位タイの9得点を挙げている谷村 海那。ゴール前にタイミングよく飛び込んで両サイドからのクロスを押し込み、着実に得点を量産している。また、攻守を支える中盤では、ボランチの大西 悠介がデュエルの勝利数でリーグトップを独走。秋田としてはこうした選手たちとの1対1で競り勝って仕事をさせず、セカンドボールを奪って攻撃に転じたい。
秋田はホームでの熊本戦を1-1のドローで終えた。前からの連動したプレスでボールを奪うと、梶谷 政仁が推進力を発揮して立ち上がりから複数の決定機を作る。しかしその時間帯で決め切れず、14分に相手の鋭い攻撃から先制を許した。後半は1人少なくなった相手を攻め立て、74分にスローインの流れから中村 亮太が2年ぶりに得点を決めて追いつくも、ひっくり返すには至らなかった。
秋田は直近3試合を引き分けて、リーグ前半戦を終了。開幕2連敗でスタートし、ここまで浮き沈みがありながらも、J2に初昇格した2021年以降、過去最高となる9位での折り返しにこぎ着けた。勝負のリーグ後半戦に向けて、目の前のいわき戦に全力を注いで良い流れを作りたい。
秋田は熊本戦から大幅なメンバーの入れ替えも予想される。ただ、今季の秋田はリーグ戦でなかなか出番を得られない選手たちがルヴァンカップで奮闘して、結果を出している。1stラウンド2回戦ではJ1湘南を撃破し、同じくJ1の新潟と対戦した3回戦は延長戦までもつれ込む粘り強さを発揮し、ポジション争いを活性化した。こうした経緯があるため、天皇杯でも非常に高いモチベーションで臨むはずだ。「新たなメンバーが出ると思うが、誰が出ても同じサッカーをして勝ちたい」と中村が言えば、コンディションの良さを表現した梶谷は「連戦だが、絶対に試合に出て得点を取りたい」と意気込む。
今季の秋田はセットプレーの攻撃により一層磨きがかかっており、相手の対策を上回って得点を挙げている。いわきもリーグ戦で挙げた26得点のうち、半分に当たる13得点をセットプレーから決めているため、相手陣地での一つひとつのリスタートも重要になる。緊迫した一戦になりそうだ。
[ 文:竹内 松裕 ]

