当時、すでにJ2への降格と片野坂 知宏監督の退任が決まっていた大分が、前年度王者の川崎Fに挑んだ3年前の対戦は、大分が対川崎Fに特化した戦術を落とし込み、強豪のストロングポイントをしっかりとケアしながらワンチャンスを狙う戦法を徹底。GK高木 駿(現・札幌)が古巣相手に出色のセービングを発揮し、前後半と延長前半までを無失点で乗り切る。延長後半に鬼木 達監督が[4-4-2]にシステム変更したことも奏功し、113分に小林 悠が小塚 和季(現在は韓国のソウルイーランドに所属)の折り返しに合わせて川崎Fが先制点を奪うが、 大分も驚異の粘りを見せる。遠野 大弥が負傷して1人少なくなった川崎Fに対して前がかりに挑むと、120+1分、下田 北斗(現・町田)のクロスからエンリケ トレヴィザン(現・FC東京)がヘディングシュートでゴールネットを揺らし、戦いはPK戦へともつれ込んだ。そのPK戦を5-4で制した大分が、初の決勝進出を決めた。
2022年から2シーズンにわたり下平 隆宏監督(現・長崎の監督)の下でJ1への復帰を期した大分だが、その目標はいまだ達成できていない。今季からは再び片野坂監督が指揮を執り、前回指揮時に“カタノサッカー”と呼ばれたスタイルとはまったく異なる新たなフットボール構築を目指している。だが、プレシーズンから負傷者が多発して苦戦しており、ここまでJ2で6勝10分7敗の勝点28で14位と、思うような戦績を残すことができていない。ただ、システムとメンバーを変更して2戦目となった7月6日のJ2第23節・いわき戦では10試合ぶりの勝利を挙げており、ここからの巻き返しを図りたいタイミングだ。
鬼木監督体制8シーズン目の川崎Fは、2022年のJ1で2位、昨季はJ1で8位。今季は明治安田J1で、ACLでの苦い敗退や戦術トレンドの移り変わりにも影響されているのか、ここまで5勝9分8敗の勝点24で15位と、こちらもかなり苦しんでいる。開幕戦で湘南を下したあと、第2節からは3連敗。第6節からも5戦白星から遠ざかるなど、なかなか安定して勝点を積み上げることができていない。第18節・神戸戦で敗れたあと、第19節からは新潟、湘南、広島、磐田を相手に4戦連続ドローとなっており、14日に開催される第23節・C大阪戦に向けて、公式戦勝利で勢いをつけたいところだ。
3年前に続いて今回も大分が勝ち上がるのか、川崎Fが格上の意地を見せつけて前回の借りを返すのか。カテゴリーこそ異なるが、1勝を今後のリーグ戦における反撃の狼煙としたい同士の戦い。結果はもちろん、内容も問われる一戦となりそうだ。
[ 文:ひぐらし ひなつ ]
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