ただ、得点前に大分がチャンスを作り続けていたのも事実だ。つまり、片野坂 知宏監督の下、用意周到な準備を重ねたことで川崎Fを相手にペースを握っていたとも言い換えられる。
そして今節も、大分は日本代表活動期間につき、川崎F対策を長く準備する機会に恵まれた。主力選手が代表で離脱していることもない。この点でも、大分がどういったもくろみで試合に入っているかというのが試合の大きな見どころの1つとなる。
川崎Fは、日本代表に山根 視来と脇坂 泰斗、U-24日本代表に田中 碧、三笘 薫、そして旗手 怜央が参加していた。一方で昨季の最終節で負った左鎖骨骨折の影響で離脱していた登里 享平が戦線に復帰している。大島 僚太らはいまだ合流できていないものの、三度のリーグ制覇を知る頼れる副キャプテンの復帰はチームの幅を広げることにつながる。サポーター人気の高い登里がピッチに立つことがあれば、温かい拍手で等々力陸上競技場が包まれるはずだ。
「相手によって大きく戦い方を変えることはない」と鬼木 達監督が常々語っているように、川崎Fのスタンスに変化はない。前線からの“即時奪回”をもくろんで、相手を圧倒するサッカーを展開できるか。代表組の面々は、そういったスタイルを体現できる選手たち。特に代表戦で活躍した山根、田中といったタレントの躍動にも期待がかかる。
そして大分の主将は、川崎Fに在籍していた高木 駿だ。昨季の川崎F戦でも活躍してクリーンシート勝利に貢献した彼の牙城を崩せるか。
「開幕から連戦が続いていた中で、チームを変えていくのが難しかったし、トレーニングでアピールするのが難しい時間だった。(前節の)浦和戦が終わったあとに、特に出ていない選手たちには『ここからの2週間、すごく大事にしてほしい』と伝えた。変化は相当意識していないと変わったということは伝わってこないものだが、それが伝わってくる選手が実際にいる」 鬼木監督は、チームに見えるポジティブな変化も明かしていた。この2週間でアピールに成功した選手は誰か。この点も注目したいポイントだ。
それに大分がどんな準備をしていたのか、という点もそう。桜が花開き、そしてかなりの量が散ってきたこの2週間で互いが何をしてきたのか。ピッチ上に注視したい。
[ 文:田中 直希 ]


