福岡は5月に行われたJ1第14節・神戸戦、第15節・C大阪戦と連続して敗戦。続くJリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド3回戦でも柏に惜敗を喫して公式戦3連敗となったが、それ以降のリーグ戦6試合は3連勝を含む5勝1分と一気に好調へ転じ、上位へ肉薄する勢いをつけた。
しかし、7月7日に行われたリーグ前節は下位に沈む京都とホームで対戦し、先制を許す難しい展開に。パワープレーに打って出た後半アディショナルタイムに田代 雅也のヘディングでのゴールによって土壇場で振り出しに戻したが、終了間際に劇的な形で勝ち越しを許し、リーグ戦7試合ぶりの黒星を喫した。
くしくも今回で対峙する愛媛も、福岡と同様の流れでここまで来ている。愛媛は6月に入ってから好調に転じ、J2第19節・水戸戦からリーグ戦3連勝と勢いに乗ったが、第22節・熊本戦、第23節・群馬戦と降格圏で苦しむチームに連敗。勢いを削がれた形でこの天皇杯を迎えることとなった。
お互いに7月7日にリーグ戦を戦ったばかりで中2日の過密日程を考慮すれば大幅なターンオーバーを行って臨むことが予想されるが、そうなれば上位カテゴリーとなる福岡の選手層の厚さがものを言うだろう。さらに、サブ組でも今季のリーグ戦で比較的経験を積んでいる福岡に比べ、愛媛は主力組とサブ組が二極化し、出場時間に大きな隔たりがあるため、ターンオーバーによる戦力ダウンは避けられないところだ。
ただ、サプライズが起こらないとは言えない。
愛媛は同カテゴリーの岡山と対戦した2回戦でも同様の理由から苦戦が予想されていたが、それに反してチームは相手の本拠地で大勝を収め、3回戦へコマを進めている。直近のリーグ戦から先発全選手を変更する完全ターンオーバーで試合に臨んだが、開始早々に放った森脇 良太のミドルシュートで先制に成功すると、経験値の浅い若手選手らもこれに続いてピッチで躍動。今季磐田U-18から加入したFWの舩橋 京汰がハットトリックを記録するなど、圧巻のゴールラッシュで大量7ゴールを奪い、見事な“サプライズ”を起こしている。
とはいえ、球際の強度や運動量、攻守での切り替えの早さにおける優位性は、それをチームの強みとする福岡が大きく上回っていると見るべきだ。主導権は必然的な形で福岡に傾くことが予想されるが、福岡がボールを保持する時間が長くなることは愛媛にとって勝機を見いだす要因になるかもしれない。
福岡は強度の高い守備から鋭い攻撃へ移るトランジションで強みを見せるが、ボールを保持するシチュエーションが長くなればその強みを出しづらくなる。実際、ルヴァンカップ1stラウンド2回戦ではJ3の松本相手に延長戦も含めて23本のシュートを放つも攻めあぐねる時間が続き、勝負をPK戦にまでもつれこませている。逆に愛媛は天皇杯2回戦で堅守速攻型の岡山にボールを持つ状況を作らせ、その出はなをくじく形で次々と鋭いカウンターを打って勝利を得た成功体験がある。
額面どおりの結果を約束されないのが天皇杯。お互いの立ち位置を度外視した面白い試合になるかもしれない。
[ 文:松本 隆志 ]

