ともに昨季はJ1残留争いを強いられたとおり、両者の2019年を振り返ればネガティブな印象が先行する。J1参入プレーオフの末、なんとか残留を決めた湘南に対し、浦和もAFCチャンピオンズリーグこそ決勝まで進出したものの、リーグ戦では最終節の結果をもって残留が確定する苦しいシーズンを過ごした。そんな昨季を振り払うべく、今季は互いにリベンジを期す1年となる。
ホームの湘南は、昨季終盤に就任した浮嶋 敏監督が今季も引き続き指揮を執る。メンバーは湘南を支えた実力者たちが多く去った一方で、10人を超える選手を新たに補強。12年ぶりの古巣復帰となる石原 直樹に、大岩 一貴や福田 晃斗といったJ1経験の豊富な選手をはじめ、「湘南に来てプレーしたい、何か意欲を持って今年のシーズンに臨む。そういったモチベーション、意欲を持っている選手」(坂本 紘司スポーツダイレクター)が集結した。
一方の浦和は、湘南とは対照的に選手の出入りが少ないシーズンオフに。目立った補強は昨季J2得点王に輝いたレオナルドのみで、加入後、本来の力を示すことができていない山中 亮輔や杉本 健勇といった既存戦力にも大きな期待がかかる。
先週末に開幕したJリーグYBCルヴァンカップでは白星スタートを切った両者。湘南は大分を相手に苦戦を強いられながらも、後半アディショナルタイムに梅崎 司がPKを沈めて劇的な勝利を飾り、対する浦和は攻撃陣が大爆発。レオナルド、杉本の2トップがともに2得点を挙げるなど、新たに取り組む[4-4-2]の成果が存分に表れた。その試合では互いに複数の主力選手が出場しなかっただけに、今節のメンバー構成は読めないが、指揮官はどのような11人をチョイスするか。シーズン初戦で得た勢いを、このリーグ開幕戦の勝利で加速させたいところだ。
そして、このカードは今節唯一の金曜日開催。今季から本格的に導入されるVAR(ビデオアシスタントレフェリー)がどのように運用されるかという点においても大きな注目が集まる。VARは明らかなミスジャッジを正し、審判団の判定をサポートすることが存在意義。VARが介入するのは以下の4事象だ。
①得点かどうか ②PKかどうか ③一発退場かどうか ④カード対象選手の間違い 昨季の対戦ではゴール判定に関する大きな議論を生んだ同カード。くしくもこの湘南vs浦和がJ1リーグ戦での“VARデビュー戦”となるが、「白黒ハッキリつけるという意味では良いと思う。ただ、そこで1回1回流れが止まってしまうところもある。僕も1年目なので、その流れに慣れていけたら」と石原 直樹が語るように、VARに関する基準を測る上でもこの試合は重要な意味を持つだろう。
[ 文:林口 翼 ]
