鳥栖は前節、アウェイに乗り込み、神戸と対戦した。ボールを握りながら相手ゴール前まで進入し、数多くのチャンスを作るなど今季の鳥栖のスタイルをしっかりと発揮。金森 健志、原川 力、林 大地が得点を挙げ、3得点を奪った。しかし、課題は守備。3ゴールを奪った一方で喫した失点は『4』。攻撃的なスタイルは機能しているものの、不用意なボールロストやミスから一気にゴールまで持っていかれて得点を許す形が目立っている。攻撃時には自分たちのスタイルでゴールに迫るために独特の立ち位置を取っており、そこでミスが起これば相手に簡単にスペースを与えることになってしまう。ここ3試合で9失点。結果的にも3連敗中と現状が示すように課題は明白だ。高い守備意識なくして攻撃的なスタイルは成り立たない。苦境を脱し、チームとしてもう1つ上のステージに進むためにも、リスク管理や攻から守への切り替えの速さなどを徹底したい。
一方のFC東京は前節、ホームにC大阪を迎えた。堅守に定評があるチーム同士の一戦は0-0の時間が長く続いた。それでも63分にディエゴ オリヴェイラ、66分にアダイウトンとFC東京が立て続けに得点。我慢比べの展開の中、交代策が機能してうまくスコアを動かし、最後まで守備で崩れずに2位vs3位という上位対決を制した。チーム事情から限られたメンバーでの戦いだったが、[4-2-3-1]の採用やディエゴ オリヴェイラの左サイド起用などチームとして新たなオプションも得ての勝利は、貴重な付加価値をもたらしていると言えるだろう。
両者の前回対戦は明治安田J1第8節。このときは鳥栖が3-2で勝利し、今季初白星を手にしている。FC東京の最大の武器であるカウンターをうまく封じ込めながら高い位置を取るSBの背後を突く形でペースを握り、3得点を奪った。あれから2カ月が経過して迎える今節、鳥栖が最も警戒すべきはFC東京のカウンターだろう。鳥栖がボールを握れるようになっているだけに、FC東京にとってはカウンターを繰り出しやすいという見方もできる。鳥栖はケアを怠らず、FC東京の前後をうまく分断できるかどうかが勝利へのポイントになるだろう。
3位のFC東京は、上に位置する川崎F、C大阪よりも消化試合が1試合多い。とにかく勝ち続けることで優勝戦線に食らいついていくしかない。一方の鳥栖もリーグ戦復帰後の最初の3試合を2勝1分と好発進して、自信を深めていたころの状態に戻したい。袋小路の中で停滞することは避けたい。
ボールを握りながら相手を押し込み、得点を狙う鳥栖か。それとも、その背後にできるスペースを突き、ゴールを陥れるカウンターを持つFC東京か。明確な武器を持つ両者のぶつかり合いは見ごたえ十分なものになるはずだ。
[ 文:杉山 文宣 ]
