リーグ戦で圧倒的な強さを誇る川崎F。今季まだ公式戦で1敗しか喫していない強敵に、FC東京はここ2試合大敗が続いていた。試合前日には長谷川 健太監督も「いろいろ引きずる。最近は試合にすらできていない」と弱音に似たコメントを発していた。
ところが、さすが百戦錬磨の指揮官。この言葉を額面通りに受け止めてはいけなかった。等々力陸上競技場のピッチに立った選手たちは徹底的に守り倒す覚悟を決め、川崎Fの攻撃を真っ向から受け止めた。そしてセットプレーと得意のカウンターから2ゴールを決め切り、相手をシャットアウト。攻撃で対抗せずとも、自分たちの武器である堅守を前面に打ち出し、堂々と守り切る。この決断力、あらためて名将・長谷川監督の勝負師のすごさが際立っていた。
重要な勝利のあとにやってくる試合。得てして「次に勝たないと意味がない」と勝負の世界で戦う者は口をそろえる。実際に川崎F戦直後には、2ゴールを挙げたレアンドロも「すぐにガンバ戦が来る。一試合一試合を考えていきたい」とリーグ戦に気持ちを切り替えることの大切さを説いた。
前回対戦は敵地で3-1とG大阪を退けた。宇佐美 貴史のファインゴールで一時同点に追いつかれたが、レアンドロのPKで勝ち越すと、ロングカウンターからアダイウトンのダメ押し弾で勝負を決した。
ただ、最近のG大阪は前回対戦時とチーム状況が異なる。FC東京が川崎Fと戦っていた7日の同時刻に、G大阪は延期となっていた明治安田J1第10節・鳥栖戦を敵地で戦い、渡邉 千真の2ゴールで2-1の勝利。これで破竹の5連勝を記録した。
この5連勝はいずれも僅差のスコアを制している試合ばかりで、ここにきて勝負強さも顕著になってきた。また例年、秋口になると好調街道に入る宮本 恒靖監督率いるチームだけに、今季も得意の季節に突入して好調の波に乗っている。
お互いに中2日で迎える連戦という条件も同じ。G大阪は5連勝のうち無失点は2試合、そのほかの3試合1失点止まりと、締まった試合展開ができているところも見逃せない。対するFC東京は現在公式戦3試合連続無失点と、こちらも相手を上回る堅守ぶりが武器になる。この一戦も接戦になることは必至で、先制点や勝ち越し弾といった、勝敗を分ける分水嶺の場面が90分の中でどこに起こるかに注目すると面白い。
好調の両者。チームの雰囲気も良好だ。長谷川監督にとっては古巣との試合。先日J1通算200勝を達成した指揮官は、当然そのうち多くの勝星をG大阪でも挙げている。大事な川崎F戦に勝利し、あらためて名指揮官としての評価を上げる長谷川監督と、再びチームを上昇気流に乗せる気鋭の宮本監督。この2人の采配勝負もまた、注目だ。
[ 文:西川 結城 ]
