城福 浩監督は川崎F戦の翌週に、1カ月後の再戦に向けた思いをこう語っている。
「川崎戦の5失点は僕らの大きなモチベーションになっていますし、次の川崎戦までにわれわれらしく戦って勝てるチームになっている、という大きな目標ができました。選手みんなに思うところがあったと思いますけど、奇策ではなく地力であのチームに勝てるチームになるという思いを持って練習に取り組んでいます」 3勝1分1敗。川崎F戦後の1カ月間で広島は勝点10を積み上げた。チーム状態が上向くきっかけの1つになったのが永井 龍だ。明治安田J1第18節の大分戦で約2カ月ぶりに先発出場を果たした背番号20が最前線でハードワークして攻守のスイッチを入れると、後ろの選手たちも永井に連動して相手に圧力を掛けた。広島は前半からイニシアチブを握って試合を進めることができるようになっている。
永井がもたらした影響はチームの内部にもあった。レアンドロ ペレイラやドウグラス ヴィエイラを抑えて永井がピッチに立つことで、FWのポジション争いに火がついたのだ。
永井自身、「僕が試合で良いプレーを見せることによってチームとしてFWの競争力も高まってくると思います。そうなればチーム全体のレベルアップにもつながる。今まで出ていなかった僕が試合に出て頑張ることでそういう循環になると思うし、いまは良い傾向だなと思います」と話していた。
チームにさまざまな波及効果を生み出した永井だが、前節の清水戦で負傷してしまった。ピッチを叩いて悔しがっていた永井の姿から想像するに、決して軽傷ではないだろう。さらには永井に代わって途中出場したドウグラス ヴィエイラも負傷交代となった。
アクシデントに見舞われながらも勝点3を持ち帰ることに成功した清水戦だが、「代償は大きかった」(城福監督)。しかし、後半から1トップでプレーしたレアンドロ ペレイラが強烈なシュートでゴールネットを揺らして存在感を示していることは明るい材料で、城福監督は「誰が出てもいいような状況は作ってきている自負があるので、とにかくやれる選手全員で川崎にチャレンジしていきたい」と、チームの総合力にも自信を持って川崎Fにぶつかっていくつもりだ。
川崎FはJリーグYBCルヴァンカップに敗退した直後の試合となった前節・仙台戦を1-0で勝ち切った。鬼木 達監督は「ルヴァンカップで敗戦したあとだったので非常に難しいゲームになりました」と振り返りつつ、「こういう難しいゲームを勝って乗り越えたことは成長を感じますし、もっともっと強くなっていければなと思っています」とコメントしている。
首位を独走するチームの力に陰りは見えない。それどころか、さらなる高みを目指してリベンジに意気込むチームたちの挑戦を跳ねのけようとしている。
エディオンスタジアム広島に場所を移して迎える再戦。強い気持ちを持って挑む広島に川崎Fはどう対処していくのか。まずは立ち上がりの攻防に注視したい。
[ 文:寺田 弘幸 ]