リカルド ロドリゲス新監督の下、新たなスタイルにトライして準備を進めてきた浦和だが、正直なところ仕上がり具合は未知数である。直近に公開された練習試合、13日の相模原戦ではポジティブな面が多く見られたが、J1相手には鳥栖に引き分け(2△2)、札幌に大敗(1●4)を喫するなど良い結果を得られていない。新しいサッカーがJ1でも通用するのかは、フタを開けてみないと分からない。
しかしそれでも、キャンプからここまで、確たる信念の下で新スタイルに取り組んできた。GKとCBから始まる深い位置からのビルドアップ、そこにボランチが絡むところから生まれる柔軟な変形。相手を引きつけてから一気に裏返す速攻に、じっくり押し込んでからのコンビネーション。一昨季までの「何をどうしたらいいのか」という状態から、昨季はそれを整理し、シンプルにできることを作り、多くのオプションのための基礎を築こうとした。その土台を引き継いでの『3年計画』の2年目。
ただ、雲行きは怪しくなってきている。橋岡 大樹の移籍(シント=トロイデンVV)はある程度折り込み済みだったろうが、キャンプ序盤にレオナルドは離脱し、柏木 陽介はチームを離れざるを得ない事態に陥った。興梠 慎三は昨季最終節の負傷から驚異の回復を見せているが、まだフルスプリントできる状態ではなく、トーマス デンも思いのほか復帰に時間を要している。新加入の西 大伍も開幕戦には間に合いそうにない。
チームの成熟に手ごたえをつかみつつも、不安要素も日に日に大きくなっている。未完成の状態で臨む開幕戦は、ともすれば派手に散ってしまうかもしれない。FC東京の堅守を攻めあぐね、強力アタッカー陣のカウンターに沈む――あり得るシナリオであるし、むしろこちらの可能性のほうが高いのかもしれない。しかしそれでも、浦和レッズは真っ向から挑むだろう。今後10年の浦和スタイルへの決意表明である。
一方のアウェイ・FC東京も盤石ではない。沖縄キャンプでは千葉、京都とJ2クラブに連敗と不安なスタートを切っている。ただ、このキャンプ前半についてはエクスキューズもあった。負傷の永井 謙佑や、再入国後の自主隔離期間の影響でブラジル国籍勢が不在となった影響も大きかった。コンディションが戻ってくれば、やはりアタッカー陣の威力は脅威だ。
長谷川 健太監督は「60得点」を目標に掲げており、より積極的なスタイルで臨んでくる可能性も高いが、浦和も「FC東京が前から行っても取れないと思わせるようなボール回しができれば」(岩波 拓也)と、受けて立つ構え。さらには浦和から移籍した青木 拓矢が[4-3-3]のアンカーとして出場してくる可能性が高く、いきなりの古巣戦となる。およそ観客数5,000人とは思えない熱戦で、今季の埼玉スタジアム2002は幕を開けるだろう。
[ 文:沖永 雄一郎 ]
