前節、ホーム開幕戦に浦和を迎えた鳥栖は、今季自分たちが掲げるスタイルをホームのサポーターの前で鮮烈に示した。昨季作り上げたベースである、ボールを保持しながらの前進で相手を押し込む。ボールを失っても引くことなく、高い位置から人数をかけてボール奪取のために圧力を掛ける。「昨季からのベースにしっかり上乗せできている」と金 明輝監督が力強く語ったように、今季の鳥栖は守備での強度がより増している。守備の局面においても相手を自陣に封じ込める。常に相手陣地でプレーすることを実現するため、守備でのアグレッシブさをさらに高めている。そのスタイルを表現した上で浦和に勝ち切ったことはチームにとっても大きな自信となった。6年ぶりに開幕2連勝を達成し、今節は開幕3連勝を目指す。
一方の仙台は前節、ホーム開幕戦に昨季の王者である川崎Fを迎えた。しかし、立ち上がりから王者の猛烈なプレスと攻撃の質の前に次々と失点。前半だけで4失点を喫すると、後半の早い段階に上原 力也の得点で反撃を試みるも、その後さらに1失点。終わってみれば5失点での大敗となってしまった。開幕戦では退場者を出しながら土壇場で追いつく劇的な形で勝点を獲得したが、公式戦3試合を消化していまだ勝利なし。昨季は苦しいシーズンを送っただけに早い段階で勝利を挙げ、勢いに乗りたいところ。さらにこの試合が行われる翌日、3月11日は東日本大震災から10年という節目を迎える。被災地に籍を置き、復興のシンボルとなるべく戦う仙台にとっては、今季初勝利というニュースをサポーターに届けたい思いは強いはずだ。
昨季の両者の対戦は1勝1敗。それぞれ、アウェイで勝利を挙げている。昨季からリーグ戦7試合負けなしが続く鳥栖だが、最後に敗れた相手が仙台だ。ここで勝ってその悔しさを晴らし、負けなしの記録を更新したい。
若い選手も多く、試合をこなすごとに自分たちのスタイルに自信を深め、チーム・個人としても着実に成長を遂げる鳥栖。今節も前線からのアグレッシブな守備で相手を押し込むことが狙いとなる。仙台にとっては前節、川崎Fをリスペクトするあまり受けに回ってしまっただけに、似たスタイルで押し込んでこようとする鳥栖に対して、どんな対策を図るのか。手倉森 誠監督の選択は勝敗を分ける大きなポイントになるだろう。
3月11日を前に迎える一戦。金 明輝監督は「復興に向けて頑張っている仙台をリスペクトする意味でもしっかり戦いたい」と話した。サッカーが持つ力を感じられるようなひたむきなプレー。そして、感動や勇気を発信できる試合を鳥栖と仙台はできるはずだ。
[ 文:杉山 文宣 ]
