昨季の明治安田J2王者に輝いたのは徳島。しかしながら、最終的な勝点は両者とも『84』。その力は五分五分。攻撃面では徳島が67得点でリーグ2位、福岡が51得点でリーグ10位。守備面では徳島が33失点でリーグ2番目の少なさ、福岡が29失点でリーグ最少。両者とも異なるスタイルながら、激戦を勝ち抜いて昇格までたどり着いた。
ただ、昨季の直接対決は2戦2勝で福岡に軍配。
何の因果か、昨季は最終節に顔を合わせるカードが用意されたのだが、すでに両者とも昇格は決定。また、得失点差で徳島の優勝はほぼ確定していた。だが、勝点差での優勝を阻止したのは福岡。第42節・徳島戦(1○0)はアグレッシブな守備と縦に早い攻撃で攻略。逆転優勝のために必要だった7点差は現実的に難しかったものの、「それ(得失点差を埋めること)が厳しい状況になったときには試合を勝ちで終わらせる」(長谷部 茂利監督)との言葉どおり、福岡がホームのベスト電器スタジアムで白星を飾ってシーズンを締めくくった。
もちろん、徳島としても「ギリギリながら得失点差で上回れたことには達成感がありました」(岩尾 憲)と、その得失点差を積み上げられたのはシーズンを通じた決定的な力であり成果。ただ、本音を言えば勝利して優勝を果たしたかった。そういう意味でも、ここで白黒ハッキリつけてこの先のはずみにもできれば最高だ。
今季の両者に目を向けると、ともに基本路線を継続しながら必要な戦力を加えている。
徳島は藤田 譲瑠チマや宮代 大聖などを補強し、彼らは開幕先発をつかむなど早速フィットしている。一方の福岡は遠野 大弥(現・川崎F)、増山 朝陽(現・神戸)、上島 拓巳(現・柏)といった主軸選手が期限付き移籍元のクラブに復帰したが、ブルーノ メンデス、渡 大生、金森 健志、杉本 太郎、カウエ、志知 孝明などの即戦力を獲得。長谷部監督の組織作りにもフィットしそうだ。
しかしながら、両者とも今季のリーグ戦では未勝利。内容としては両者とも相応の良さを表現できているが、いざ“勝ち切る”という部分にフォーカスすると、あらためてJ1というカテゴリーの違いを感じさせられている。
その決定的な差は、特にペナルティーエリア付近の質。
昨季までであればなんとなく防ぎ切れそうな局面に見えたとしても、トップレベルの選手は少しでも油断すればピンポイントのパスや正確なコンビネーションで確実に決定機まで持ち込んでくる。徳島も福岡もその差を埋めていかなければJ1残留を手中に収めることはできない。
1日でも早く順応するために鍛錬を積む両者。そして、成長段階にあるからこそ、今季初勝利が他クラブ以上にポジティブな影響を与える可能性は高い。
その追い風をつかむのは、J1ホーム初勝利を目指す徳島か。はたまた、昨季2戦2勝で相性の良い福岡か。激闘が間もなく始まる。
[ 文:柏原 敏 ]


