浦和は明治安田J1第3節・横浜FC戦で初勝利を挙げるも、そのあとの第4節・横浜FM戦は敗戦。西野 努テクニカルダイレクターも「正直、もう少し勝点を取れるという算段はあった」と吐露したスロースタートになったが、ここにきて2連勝。8試合を終えて3勝2分3敗と五分まで持ち直した。
開幕直後は得点力不足が顕著だったが、前節、前々節と続けて複数得点。攻撃力は上向きだ。とはいえ、まだまだチャンスの数は少なく、ほとんどの試合で相手を上回るボール保持率を記録しながら、シュート数で上回った試合は開幕戦を除けばゼロだ。
これをどう捉えるか。1つの見方としては、まだまだ攻撃の流れがスムーズでない、テンポや積極性が足りないと取れるし、実際にそういう場面や試合もあった。ただ裏を返せば、チームがやるべきことを共有して、ボールを握りながら相手のスキを探し、焦れずに無駄打ちをせずに戦えているということでもある。
前節・清水戦でも決してすべてがうまくいっているわけではなかったが、ゴール前を固めてくる清水を相手に焦れずに、無理に仕掛けて不用意なカウンターを浴びることもなく、公式記録上はシュート2本で2得点という効率の良い攻撃ができた。今後もこのバランスを失わずに、なおかつさらに共通理解と個々の技量を高めてチャンスを増やしていく道を進むべきだろう。
そういった意味で、今節の徳島戦は試金石だ。これまでも横浜FCや鳥栖など後方からのビルドアップにこだわりを持つチームと対戦しているが、なんと言ってもリカルド ロドリゲス監督が昨季まで指揮を執っていたチーム。思想的には最も近いと言える相手だ。
リカルド ロドリゲス監督も「4シーズン、たくさんの試合とたくさんの練習をこなした。徳島での経験はすべての面で私を成長させてくれた」と徳島での得難い経験を語りつつ、「両チームとも似たようなチームだと思う。(自分が)徳島で4年間やってきたことでもあって、今年から浦和もそのようにプレーしている」と語った。
試合のポイントとしては「最も重要なのは浦和としてこれからも進化し続けること。相手は関係なく、チームとして積み上げて歯車がうまく回るようにして、パフォーマンスを上げたい」と自分たちにフォーカスしつつも、「もちろん徳島は私の古巣なので、少し違う試合かもしれない」と言及。やはり特別な感情はあるだろう。
その徳島は、コロナ禍で来日が遅れていたダニエル ポヤトス新監督が3月30日にようやく入国。待機期間のためまだチームに合流できていないが、物理的な距離も縮まったことで士気は上がっているだろう。
そうでなくても、甲本 偉嗣ヘッドコーチの指揮の下で堂々たるシーズンを送っている。前節・仙台戦では思うようなサッカーを展開できないながらも、セットプレーで得点をもぎ取り、クラブ史上初のJ1リーグ3連勝。前々節・清水戦から怒とうの11連戦という超過密日程だが、難なく乗り切ってしまいそうな勢いがある。
徳島はこれで3連勝となり、浦和と同じく3勝2分3敗。得点・失点ともに浦和を上回り、ちょうど1つ上の順位。胸を貸すとは言えない状況だ。浦和としては“リカルド・スタイル”の先輩である徳島に打ち勝つことで、さらに自信を深めて改革を推し進めるための一戦になるか。
[ 文:沖永 雄一郎 ]
